・ドレスデン工科大学がNASAのEMドライブ実験を追試し、同様の結果を得る
・しかしマイクロ波の位置を変え推進力が得られない設定にしたにもかかわらず推進力を観測
・地磁気とシールドされていない電線の相互作用で推進力が出た可能性
ニュートンの第3法則に反するとして、不可能だと考えられている推進システムのEMドライブ。不思議なことに、「なぜ動いているか」不明なものの、NASAによるテストでは動作が確認されています。しかし16日に発表された新たな研究によると、この結果が実は「実験上のミス」かもしれないというのです。
https://www.researchgate.net/publication/325177082_The_SpaceDrive_Project_-_First_Results_on_EMDrive_and_Mach-Effect_Thrusters
2016年11月、NASAは「不可能な」推進システムである噂のEMドライブが機能することを主張する内容の論文を発表。このシステムは1999年にロジャー・ショーヤー氏によって最初に提唱されたもので、推進力を生み出すために、円錐状の金属製の空洞内部でマイクロ波を使います。
この装置の問題点は、なんといっても物理法則を無視していること。推進力を生むためには、進行方向と逆方向に同じだけの力を放出する必要がありますが、このシステムにはそれがありません。
原因は地磁気と電線の相互作用か 新研究
ドイツのドレスデン工科大学のグループが発表した、“The SpaceDrive Project – First Results on EMDrive and Mach-Effect Thrusters”というタイトルの論文。もしかすると、これによってEMドライブの概念は間もなく最終的に闇に葬られるかもしれません。
研究チームはEMドライブをNASAが設計したものそっくりに組み上げ、真空チャンバー内で実験を行いました。空洞内でマイクロ波を放射し続け、レーザーを使ってどれだけ動いたのかを計測。彼らもNASAによる実験同様、推進力が生み出されるのを観測しましたが、スプリングの方向への推進力が生まれないようにマイクロ波の位置を変えても、同じ強さの推進力が出ていることを見つけました。
さらにパワーを半減させて見ましたが、推進力への影響はわずか。論理的に考えると、推進力を生み出しているのは他の要因ということになります。そしてそれは、おそらく地磁気とマイクロ波増幅器に電力を供給している電線の相互作用によるものとのこと。