陰嚢から口笛が消える? 奇妙な症状の原因とは?
陰嚢から口笛が消える? 奇妙な症状の原因とは? / Credit:Depositphotos
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陰嚢から口笛が聴こえる!? 奇妙な症状が報告される

2022.07.06 Wednesday

人間の体からはさまざまな音が出るもので、オナラやゲップ、クシャミ、鼻づまりなどは一般的です。

しかしごく稀に、想像もできない部位から変な音が鳴ることがあります。

今回の奇妙な症状は、米国オハイオ州に住む72歳の男性から報告されました。

彼は「陰嚢(いんのう:睾丸を包む袋)」から「口笛のような音」が鳴ると申告したのです。

この奇妙な症状については、2022年6月7日付で学術雑誌『American Journal of Case Reports』に報告されています。

Man Comes To Hospital With Mysterious Case Of “Whistling Scrotum”, And – Wait, What? https://www.iflscience.com/man-comes-to-hospital-with-mysterious-case-of-whistling-scrotum-and-wait-what-64284
[In Press] Whistling Scrotum: An Unusual Presentation of Pneumomediastinum in the Setting of an Open Scrotal Wound https://amjcaserep.com/abstract/index/idArt/936441

陰嚢から口笛!? 奇妙な部位から音がする原因とは?

米国の72歳の男性は、精巣に細菌が入って炎症を引き起こしたため、陰嚢を切開して膿を排出する手術を受けました。

しかしながら、しばらくすると再びその男性が来院。

手術後、陰嚢が音を奏でるようになってしまう
手術後、陰嚢が音を奏でるようになってしまう / Credit:Depositphotos

なんと、「陰嚢から口笛のような音がする」と相談してきたのです。

合わせて、「最近息切れしやすく、呼吸しづらい」という症状も訴えていました。

なぜ陰茎から口笛が聴こえてきたのでしょうか?

検査の結果、その原因が明らかになりました。

まず男性は気胸(ききょう)」のような状態にありました。

これは何らかの原因での空気が肺の外に漏れ出すという症状です。

胸壁内に空気がたまり、肺を圧迫する
胸壁内に空気がたまり、肺を圧迫する / Credit:BruceBlaus(Wikipedia)_気胸

放っておけば胸壁内にたまった空気が肺を圧迫することで、呼吸困難に陥ることもあります。

ところが今回のケースは、単なる気胸ではありませんでした。

なぜなら男性は、胸壁の内側だけでなく、腹部や会陰(えいん:陰嚢の後方から肛門までの間)、陰嚢にまで空気がたまっていたからです。

簡単に言うと、「男性の胴体は空気でいっぱいだった」のです。

そして、ここから男性の奇妙な症状の原因が明らかとなります。

彼は前回、陰嚢部分の手術を受けていましたが、その「手術でできた陰嚢の開放創」から腹部に溜まった空気が押し出されていたのです。

これが原因で、彼の陰嚢からは口笛のような音が鳴っていました。

バグパイプ
バグパイプ / Credit:Depositphotos

まるで、袋に空気を送って演奏する「バグパイプ(bag:袋 – pipe:笛)」のような状態になっていたのです。

では、なぜ体中に空気がたまってしまったのでしょうか?

医師は「どうしてそうなったのか、はっきりとは分からない」と述べており、陰嚢手術以外のきっかけは不明なままです。

とはいえ男性は、空気を排出する手術を受けることで、この悩ましい症状からは解放されています。

「陰嚢の口笛」は男性にとって恥ずかしい経験でしたが、極めて稀な症例として、医学界に報告されることになりました。

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