「マスト細胞活性化症候群(MCAS)」とは?
米アレルギー喘息・免疫学会(AAAAI)によると、マスト細胞活性化症候群(MCAS)とは、マスト細胞によるヒスタミンの過剰分泌が原因で起こる病気で、症状としては、突発的なアナフィラキシーショックを伴います。
マスト細胞は、日本では「脂肪細胞」とも訳され、体中の血管周囲、とくに皮膚や皮下組織、肺、消化管、肝臓などに広く存在しています。
マスト細胞は、細菌や寄生虫に対する免疫反応を担っており、細胞表面には、IgE(免疫グロブリン)と呼ばれる、免疫に関与するタンパク質が付着しています。
ここでアレルゲン(抗原)と反応すると、主にヒスタミンなどの化学伝達物質を放出し、アレルギー反応を引き起こすのです。
ヒスタミンは、アレルギー反応の原因物質としてよく知られ、これが働きすぎると、目や皮膚のかゆみ、鼻水が止まらないなどの症状を引き起こします。
コーツさんの体では、このマスト細胞が非常に敏感になっており、ちょっとした抗原に対して、過剰にヒスタミンを分泌してしまうのです。
コーツさんの場合、強い感情に対してだけでなく、ボディスプレーや掃除用具、アロマキャンドルでもアレルギー反応が出るという。
また、食事に関しては、どれが安全でどれが危険かが完全には分かっておらず、数カ月間を鶏肉・ジャガイモ・ブロッコリーだけで過ごし、栄養失調になったこともあります。
コーツさんは現在、週5日個人秘書を雇っていますが、基本的には自立した生活を送っているそうです。
また、軽くであれば、体操や運動も可能だという。
コーツさんは、現在の状況について、こう話しています。
「体操は、体力面だけでなく、精神面でも私の人生を救ってくれました。
汗をかくと体が反応することもありますが、この病気と付き合う中で、どこまで追い込んでも大丈夫かが分かってきています。
笑うのも同じで、気を落ち着くべき時を感じられるようになりましたし、薬物療法もうまくいっているので、以前ほどアレルギー反応が起きなくなりました。
体操をやめるべきという人もいますが、体操は心身の健康面で、多くのものを私に与えてくれます。
家で何もしなくてもアレルギー反応は出てしまうので、外に出て生活する方が、心身の健康には良いのかもしれません」