・水の温度を75フェムト秒で10万℃に上げる方法を開発
・X線によって水分子の電子が分離してプラズマ化し、さらに温度を上げる
・時間が短いためプラズマ化しているにもかかわらず液体の水と同じ密度をとる
一瞬でカップラーメンが食べられる…?
最先端の技術によって、世界最速の湯沸かし器が開発されました。そのパワーは、なんとわずか75フェムト秒(1フェムト=10-15、ピコ秒10分の1)で、室温の水を100,000℃まで熱してしまうほど。それもそのはず、従来の方法とは異なった仕組みで加熱されているのです。
ドイツ電子シンクロトロン(DESY)自由電子レーザー科学センター、スウェーデンのウプサラ大学などの研究チームは、強力なX線ビームによって水分子のもっている電子を外に弾き出し、温度を急激に上げることに成功しました。論文は14日付で「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」に掲載されています。
http://www.pnas.org/content/early/2018/05/09/1711220115
通常のヒーターと電子レンジの加熱方法
ストーブとオーブンは通常利用される伝統的な温め方法です。数千年の間、ある物体から他の物体へと単純に熱を移動させることで、人々は物を温めてきました。
私たちが日々使う電子レンジは、マイクロ波放射を使い、水分子を激しく動かして温めています。マイクロ波は、電磁波放射の形態のひとつ。電磁波はラジオやテレビ、携帯電話などでも使われています。危険そうな名前ではありますが、マイクロ波はイオン化を伴いません。つまり、原子から電子を剥ぎ取る能力がないということです。
電子レンジの内部では、マイクロ波の波長は水分子に吸収される周波数で放射されています。各個の分子はマイクロ波を吸収し、振動を始めます。受け取ったエネルギーは振動する分子の周りの分子を通して吸収されます。そのエネルギーは、対象の隅々に行き渡り、そして全体の温度が上がるのです。