今後予想される破局噴火の監視
破局噴火をいかにして予測するか?
最も古くから行われているのが、周期を分析することでした。
破局噴火の多くは、一定量に溜まったマグマが一気に噴出することで起こります。
そのため溜められるマグマ量や溜まる速度に変化がなければ、噴火は周期的に行われる可能性があります。
ただこの方法は過去のデータをもとにした予測に過ぎません。
しかし近年は、より確実性が高い監視技術が確立されていて、マグマが溜まっていく様子を観測できるようになりました。
たとえば人類を絶滅の危機に追い込んだトバ火山の場合、現在地下には320立方キロメートルのマグマが充填されていると推定されています(レベル7相当)。
かつての噴出量が2000~5800立方キロメートルに比べるとかなり少なくなっていると言えるでしょう。
しかしマグマは次の破局噴火にむけて溜まり続けており、調査によって1000年あたり4立方キロメートルのマグマが充填され続けていることが判明しました。
そのため単純計算すれば、同等レベルの破局噴火が次に起こるまで60万年はかかると考えられています。
また以前の研究によれば、米国のイエローストーン国立公園地下にマグマを蓄えられる総量が4000立方キロメートルほどであり、現在はそのうちの6~8%が充填されているとのこと。
一方、今年になって発表されたニュージーランドのタウポ湖の調査では、マグマ溜りによって地表の高さが変動しているという測定結果が報告されています。
タウポ湖は2万6500年前に起きた破局噴火によってうまれたカルデラ湖であることが知られています。
(※噴出物の量はドバ火山に比べてずっと少なく530立方キロメートルですがレベル8に区分されています)
溜まっていくマグマは地表表面を上下させる効果があるため、地表の高度を調べることで、マグマの状態を予測することが可能です。
トバ火山・イエローストン国立公園・タウポ湖で続けられているマグマの充填と予測される将来の破局噴火は、どれも人類史を終わらせる可能性を秘めています。
また日本近隣で考えれば、九州にある阿蘇山や中国と北朝鮮の国境に位置する白頭山も破局噴火を起こす可能性があります。
さらに大正時代に大噴火(レベル4)を起こした桜島でも、当時の9割までマグマの充填が完了しつつあるとの報告もなされています。
(※7月17日に桜島で2022年に入って7回目の噴火が起き、山体全体が膨張しているとの報告がなされています)
現在の人類の力では溜まっていくマグマや火山噴火を止める術はありませんが、観察技術が向上すれば、より精度が高い予測ができるようになるでしょう。
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