過去に起きた破局噴火は人類や地球生命に壊滅的な被害をもたらした
人類の進化に最も影響を与えたと考えられているのが7万~7万5000年前に起きた「トバ火山」の噴火です。
現在のインドネシアの位置にある「トバ火山」の噴火によって大気中に吐き出された噴出物は2000~5800立方キロメートルと考えられており最上位の「レベル8」に相当します。
トバ火山の噴火は凄まじく、大気中に巻き上げられた大量の火山灰により日光が遮られて地球の気温が5℃も低下。
また寒冷化の影響はその後6000年にわたり続き、地球は「ヴュルム氷期」と呼ばれる氷河期に突入することになります。
つまり被災地域は地球全土に及んだと言えるでしょう。
当時、ホモ属は私たちの直接的な先祖であるホモ・サピエンス(人類)の他に複数種類が存在していましたが、地球寒冷化の影響で、ホモ・エレクトス(北京原人など)、ホモ・エルガステルなどは絶滅してしまいました。
そして世界各地に進出しつつあった人類も、トバ火山による破局噴火の影響によってアフリカを出た者たちはほとんどが死滅し、総人口が1万人を下回るまで激減してしまいました。
(※ほかにもネアンデルタール人とデニソワ人は生き残ったと考えられます)
しかし地球の歴史には、トバ火山の噴火(レベル8)を遥かに上回る異常噴火も起きていました。
今から2億5190万年前、ペルム紀末恐竜が登場する少し前の時代に現在のシベリアに存在する「シベリア・トラップ」と呼ばれる部分で、地球深部から巨大なマグマの塊が吹き上がり、地球史上最大クラスの噴火が起こりました。
噴火によって放出されたのはマグマだけでも400万立方キロメートル。
噴火期間はなんと200万年に及んだと予想されています。
その結果、地球環境は激変し、酸素濃度は10%にまで低下。
海洋種の81%、陸上種の70%が絶滅する地球史上最大の大量絶滅が発生しました。
このような異常噴火は現在の地球で起こる前兆はみられませんが、地球にとって表層部の生態系はちょっとした反応で崩壊する、些細な存在であることを思い知らされます。
しかし人類はこのような危険な噴火について、学び続けることである程度の予測が可能になってきました。
では、今後破局噴火が起きる可能性のある火山はあるのでしょうか? 次のページでは現在人類が監視を続けている破局噴火火山について解説します。