「考えるだけの時間」はスマホで情報をチェックするのと同じくらい楽しい
別の実験では、「考えるだけ」のグループと「スマホでニュースをチェックする」グループに分かれました。
そして両グループとも、実験前にそれぞれの行為がどれほど楽しいか予測し、実験後に改めて7段階評価(1~7点)してもらいました。
その結果、最初の実験と同様、「考えるだけ」のグループは当初、思考を巡らすだけの時間を過小評価していましたが、実験後には「思っていたより楽しい」と考えを改めました。
また実験後の評価は、両グループとも同レベルでした。
つまり、考えるだけの時間は過小評価されるものの、実際はスマホでニュースをチェックするのと同じくらいの楽しさや満足感が得られるのです。
ちなみに研究チームは、考えるだけの時間が、7段階評価で3~4点程度であることも強調しています。
参加者にとって思考を巡らすことは、「非常に楽しい」経験ではなく、あくまでも「思っていたよりも楽しい」というレベルだったのです。
考えるだけの時間が、大好きな趣味に費やす時間と同レベルの満足感をもたらすはずがないので、この結果は妥当だと言えますね。
大切なポイントは、思考を巡らすことが、スマホでニュースをチェックすることと比較しても、楽しさや満足感の面で劣ることはないということでしょう。
これまでの研究により、思考を巡らすことが、問題を解決したり、創造性を高めたり、人生の意義を見つけるのに役立つと分かっています。
ですから、空き時間を常に何かで埋めようとせず、ぼーっと考え事をして過ごす時間を人生に取り入れることは、より有意義な生活に役立つでしょう。
次に、何らかの待ち時間ができたなら、あえて「何もしない」ことを選択し、考え、思い巡らすことを楽しんでみるのもいいかもしれません。
きっと人にはぼーっと過ごす時間も必要なのです。