夢をみるクモには最小限の自己認識能力があるかもしれない
これまでの研究により、人間を含む哺乳類や鳥類、爬虫類、魚類、イカやタコのような軟体動物にもレム睡眠に類似する状態が存在している可能性が報告されています。
しかし昆虫やクモ類などの節足動物においてレム睡眠に相当する現象がみられたという研究報告は世界ではじめてです。
もしクモたちが本当にレム睡眠があるのならば、レム睡眠は想定されていたよりも遥かに広範な動物種に存在する、普遍的かつ古い起源を持つ現象である可能性があります。
研究者たちはクモたちを含む幅広い種でレム睡眠を研究することは、なぜレム睡眠や夢が存在するかといった、根源的な謎を解明する手助けになると述べています。
また生物哲学の分野に対しても、今回の発見は大きな衝撃となると考えられます。
サンフランシスコ州立大学の哲学者であるデビット・ペナ・グスマン氏は、「単純な夢でさえそれを経験する『私』のようなものなしに成立するとは想像しがたい。したがってクモが夢を見るとしたら、クモが最小限の自己のようなものをもっていることを意味するかもしれない」と述べています。
ただ最終的な結論を得るには、クモの脳に電極を刺し込み、レム睡眠時の特徴があらわれているかを証明する必要があるでしょう。
研究者たちは現在、より詳細な仮説の検証にとりかかっている、とのこと。
もしかしたら、研究者の暇つぶしからはじまった実験が、睡眠と夢の謎を解き明かす大発見につながるかもしれませんね。