ミツバチは「人工飼料だけで飼育できない唯一の家畜動物」だった
ミツバチは、世界の農業生産の約35%に関与する、欠かせない花粉媒介者です。
そんな働き者の彼が作り出す「ハチミツ」もまた私たちの多様な食生活には欠かせないものです。
養蜂家はミツバチたちを巣箱で飼育しており、ミツバチたちが周囲から集める花粉や蜜によって、ハチミツを得ています。
しかしこれまで、ミツバチにはすべての栄養要求を満たす「完全な人工飼料」が存在していませんでした。

牛や豚などの家畜は、すでに栄養バランスを整えた人工飼料によって管理されていますが、ミツバチだけは自然界の花粉に頼りきりだったのです。
そのため、花粉が少ない時期には深刻な栄養不足に陥ります。
研究チームも次のように述べています。
「ミツバチは雑食性で、すべての栄養を単一の供給源から得ているわけではありません。
生き残るためには多様な食生活が必要であり、コロニーの維持に必要な花粉を継続的に確保することはますます難しくなっています」
大規模な単一作物農業や生息地の減少により花粉源が著しく減少しています。
また市販の補助食では一部の栄養素しか補えず、根本的な解決にならないという問題が長年続いていました。
しかし、ワシントン州立大学の研究者たちはついに、ミツバチのための完全栄養食の開発に成功しました。