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Credit: canva
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オスメス両方を兼ね備えた奇跡のカブトムシ「ギナンドロモルフ」の姿とは?

2025.03.24 20:00:04 Monday

毎年夏になると、昆虫採集で人気を集めるカブトムシ。

虫が苦手な方でも「カブトムシはわりと平気」という方も多いのではないでしょうか。

力強いツノをもつオス、丸みを帯びた姿のメス。

しかし世の中には、オスとメス両方の特徴を兼ね備えた奇跡のカブトムシが実在するのをご存知でしょうか?

こうした個体は「ギナンドロモルフ(雌雄モザイク)」と呼ばれる非常に珍しい存在です。

日本の国立科学博物館の研究チームは今回、2018年に寄贈されたギナンドロモルフのカブトムシを詳しく調査し、どこまでがオスでどこまでがメスなのかを明らかにしました。

さて、ギナンドロモルフはどんな姿をしていたのでしょうか?

研究の詳細は2024年12月25日付で日本の科学雑誌『昆蟲(ニューシリーズ)』に掲載されています。

「オスでもありメスでもある」カブトムシの内部・微細構造を解明! ~カブトムシ雌雄型(ギナンドロモルフ)のマイクロ CT および 走査型電子顕微鏡(SEM)による観察~(PDF) https://www.kahaku.go.jp/procedure/press/pdf/143177.pdf
カブトムシ(コウチュウ目,コガネムシ科)ギナンドロモルフ個体のマイクロCTおよび走査型電子顕微鏡(SEM)による形態学的観察 https://doi.org/10.20848/kontyu.27.4_143

甲虫のギナンドロモルフは珍しい?

カブトムシに限らず、自然界の99%以上の生物は、生まれながらに「オス」か「メス」のどちらかに決まっています。

ところが、ごくまれに“オスとメスの特徴を両方もった個体”が現れることがあります。

それが「ギナンドロモルフ(雌雄モザイク)」と呼ばれる存在です。

特に昆虫の世界では、ギナンドロモルフがしばしば確認されることがあります。

例えばチョウでは、片方の翅がオス、もう片方の翅がメスといった左右でくっきり分かれるタイプが多く報告されています。

実際の画像がこちら。

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アゲハチョウの雌雄モザイク(左下の青い部分がメス、あとはオスの特徴)/ Credit: ja.wikipedia

ギナンドロモルフは、オスとメスの身体的特徴がモザイク状に入り混じった個体もいれば、身体の左右に分かれて現れるタイプもいます。

一方で、カブトムシのような甲虫でのギナンドロモルフの出現率はかなり少ないです。

しかし、奇跡的に見つかった甲虫のギナンドロモルフは、とても興味深い見た目になります。

例えば、下の画像のEの個体はカブトムシのギナンドロモルフで、正常なオスの長いツノを持ちますが、その上の短いツノがありません。

またFの個体はミヤマクワガタのギナンドロモルフであり、左半身がオス、右半身がメスという姿をしています。

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E:カブトムシの雌雄モザイク、F:ミヤマクワガタの雌雄モザイク/ Credit: 国立科学博物館(2025:PDF)

そして2018年に一般の方から国立科学博物館へ、新たなカブトムシのギナンドロモルフが生きた状態で寄贈されました。

この個体は生体の状態でビデオ撮影され、亡くなった後にエタノール水溶液中に液浸標本として保存されています。

その姿は今までの甲虫のギナンドロモルフとはまた一風変わったものでした。

研究チームは、その体の内外の構造を詳しく明らかにしようと考えました。

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