甲虫のギナンドロモルフは珍しい?
カブトムシに限らず、自然界の99%以上の生物は、生まれながらに「オス」か「メス」のどちらかに決まっています。
ところが、ごくまれに“オスとメスの特徴を両方もった個体”が現れることがあります。
それが「ギナンドロモルフ(雌雄モザイク)」と呼ばれる存在です。
特に昆虫の世界では、ギナンドロモルフがしばしば確認されることがあります。
例えばチョウでは、片方の翅がオス、もう片方の翅がメスといった左右でくっきり分かれるタイプが多く報告されています。
実際の画像がこちら。

ギナンドロモルフは、オスとメスの身体的特徴がモザイク状に入り混じった個体もいれば、身体の左右に分かれて現れるタイプもいます。
一方で、カブトムシのような甲虫でのギナンドロモルフの出現率はかなり少ないです。
しかし、奇跡的に見つかった甲虫のギナンドロモルフは、とても興味深い見た目になります。
例えば、下の画像のEの個体はカブトムシのギナンドロモルフで、正常なオスの長いツノを持ちますが、その上の短いツノがありません。
またFの個体はミヤマクワガタのギナンドロモルフであり、左半身がオス、右半身がメスという姿をしています。

そして2018年に一般の方から国立科学博物館へ、新たなカブトムシのギナンドロモルフが生きた状態で寄贈されました。
この個体は生体の状態でビデオ撮影され、亡くなった後にエタノール水溶液中に液浸標本として保存されています。
その姿は今までの甲虫のギナンドロモルフとはまた一風変わったものでした。
研究チームは、その体の内外の構造を詳しく明らかにしようと考えました。