どこまでがオスで、どこまでがメス?
今回の研究で注目されたのは、外見だけでなく、体内の筋肉や生殖器の構造もオスとメスが混在していたという点です。
チームは、マイクロCT(X線による三次元内部観察)と走査型電子顕微鏡(SEM)という最先端の観察技術を使って、この雌雄型個体を徹底的に調べました。
まず外見では、頭部にはオス特有の大きくて長いツノがなく、メスのような丸い形状でした。
ところが胸部には、通常オスにだけ見られる小さくて短いツノが確認されたのです。
実際の画像がこちら。

さらに腹部内部を観察すると、オスの交尾器がはっきりと見つかり、正常なオスとまったく同じ構造をしていたのです。
もっと驚くべきは、頭部を動かす筋肉です。
前胸部の内部にあるこの筋肉は、オスでは非常に発達し、メスでは小さいのですが、この個体ではオス並みに大きく発達していました。
つまり、頭部の見た目はメスでも、中身の筋肉はオスだったのです。

さらに走査型電子顕微鏡で観察した大あごには、驚くべき左右非対称の特徴が見つかりました。
右の大あごはオスに見られるような毛の少ない鋭い突起、左の大あごはメスのように毛に覆われた幅広の突起。
まるで左右で性別が分かれているかのような状態だったのです。
この発見は、雌雄のモザイクが体の部位ごとに、しかも左右で異なるレベルで現れ得ることを示しています。
研究者たちは、こうした複雑な性の現れ方を多角的に理解するため、今後さらに多くのギナンドロモルフ個体の観察と、遺伝情報を含む研究を進めたいと話しました。
このような研究が進めば、生物における性決定の仕組みや、多様な性のあり方についての理解がさらに深まるでしょう。
画像に「アゲハチョウ」と記載がありますが
明らかに日本産アゲハではありません。おそらく南米産アンドロゲウスアゲハ。
「アゲハチョウの一種」とかにするべきでしょう