ミツバチの「完全栄養食」が開発される
開発された新しい完全栄養食は、ミツバチに必要なすべての栄養素を含んでいます。
研究チームは、この栄養源を、「人間のパワーバー(Power Bars)に似ている」と述べています。
ミツバチのコロニーに直接投入されると、若いミツバチがそれらを加工し、幼虫や成虫に対する必須栄養素として分配するのです。

このミツバチの完全栄養食には、ステロールの役割が大きく関わっています。
ステロールとは、脂質の一種であり、細胞膜を構成したり、細胞の機能を維持したりする重要な成分です。
人間ではコレステロールがよく知られていますが、ミツバチにとっても成長や神経機能を支えるうえで不可欠な栄養素です。
そのため、この栄養食の開発は、ミツバチが自然界で摂取しているステロールの組成を詳細に分析するところから始まりました。
その結果、成長・免疫・神経機能にとって重要な6種類が厳選され、特にイソフコステロールという成分が、ミツバチの成長と神経機能に不可欠であることが判明しました。
そして研究チームは、他の栄養素と共に、これら6種類の主要ステロールを適切なバランスで人工的に配合。
これまで存在してこなかった「ハチミツの完全栄養食」を開発することに成功しました。

実験では、この栄養食が与えられたミツバチの群れが、周囲から花粉が得られない環境でも1シーズン生き延びることができました。
一方、完全栄養食が与えられなかったミツバチの群れでは、幼虫の生産量の減少、成虫の麻痺、群れの崩壊など深刻な影響が見られました。
また、ブルーベリー畑やヒマワリ畑といった過酷な環境下(ミツバチにとっては栄養素に偏りがある)でも、完全栄養食を与えられたミツバチたちは安定して子育てを続け、群れの規模を拡大することができました。
新しい栄養食にはミツバチに必要な成分が含まれていることが証明されたのです。
この完全栄養食が広まるなら、栄養不足による生産率低下に悩む養蜂家を助けることができるでしょう。
この記事に書かれている通りなら、この実験は「栄養補助食品」として有用であるということを示しているに過ぎない。
蜜も花粉も全く無い閉鎖環境でこの人工飼料だけでコロニーの維持・増殖ができること検証しなければ、「完全栄養食」とは言えない。
蜜蜂は受粉には欠かせない昆虫であり、養蜂という小さな家畜でもある。蜜源の少ない時期には群れの維持は難しい作業となります。この研究は花の端境期には有効と思えるが養蜂を維持していくにはやはり蜜源の確保が欠かせない。
人工飼料だけでは飼えない家畜は別にミツバチだけではないけどね。勉強不足なのかミツバチの特殊性を大げさに言いたいのかは知らないけど。
海水魚の殆どはそうだし、カイコもそのはず。餌の中に魚粉や桑の葉といった天然本来の餌を混入することが必要で、その割合は低くない(カイコのいわゆる人工飼料で乾物の2割が桑葉)。
まァ、魚粉や桑葉と、花粉の収集の難易度は全然違うけどね。