頭がふたつ?偽の頭を作るチョウの進化戦略
自然界では「命がけの騙し合い」が日常です。
捕食者に狙われる小動物たちは、ただ逃げるだけでなく、ときに相手の目を欺く“偽装戦略”をとります。
シジミチョウ科の多くのチョウが持つ「偽の頭(false heads)」もその一例です。
この“偽の頭”は、体の尾側にある模様や構造によって構成されています。

たとえば、
・触角のような形(偽触角)
・目玉に見える斑点
・頭部のような輪郭
・色彩のコントラスト
・線が一点に集まるような収束線
といった特徴が組み合わさることで、あたかも“後ろにもうひとつの頭がある”かのように見えるのです。
これにより、捕食者は頭だと思って狙った場所が実は後翅だった…という「見事な肩透かし」を食らうことになります。
この戦略のすごいところは、命にかかわる本物の頭を含む胴体部分を守りながら、羽の一部が裂けるだけで済むという点です。
たとえ襲われたとしても致命傷を避けられるため、生き延びて子孫を残すチャンスが格段に上がるのです。