「ザトウクジラの歌」は海域ごとに異なる
ザトウクジラを代表とする特定の種は、「クジラの歌」を歌うことで知られています。
この歌は、私たちの知る音楽や言語のように複雑な構造で成り立っています。
まず、「ユニット(unit)」と呼ばれる短い音を組み合わせた「フレーズ(phrase)」があります。
次に、複数のフレーズが組み合わさって、1つの「テーマ(theme)」がつくられます。
最後に、いくつかのテーマが組み合わさることで1つの「歌」が完成するのです。
クジラが歌う理由は明らかになっていませんが、交配期にオスが歌うことから、研究者たちは「パートナーを選択するのに役立つ」と考えています。
ザトウクジラのオスは最大30分間も歌い続けることさえあるのだとか。
そしてザトウクジラの群れは、繁殖地ごとにほぼ同じ歌を歌うことも知られています。
しかし時には、ユニットを少し変化させて、歌をアレンジすることもあるようです。
新しいフレーズを追加したり、テーマを切り取ったりすることさえあります。
またクジラたちは、近くの群れの歌を真似することもあります。
これにより、ある繁殖地から別の繁殖地へとクジラの歌が流行していくのです。