つながりが弱い相手こそ、優良な求人情報を与えてくれる
つながりが弱い相手こそ、優良な求人情報を与えてくれる / Credit:Canva
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人生や転職を成功させるには強い絆より弱い絆が重要だと判明

2022.09.18 Sunday

転職は人生における大きな転換点となります。

では、優良な求人情報はどこから得られるでしょうか?

アメリカ・マサチューセッツ工科大学(MIT)スローン経営大学院に所属するシナン・アラル氏ら研究チームは、弱い絆からもたらされた情報が転職を成功させやすいと報告しました。

新しい仕事を探しているなら、親族や友人を頼るよりも、ちょっとした知り合い程度の人に尋ねるべきなのです。

研究の詳細は、2022年9月15日付の科学誌『Science』に掲載されました。

Looking for a job? Lean more on weak ties than strong relationships https://www.sciencenews.org/article/linkedin-job-search-weak-ties-relatiosnhips-social-science
A causal test of the strength of weak ties https://www.science.org/doi/10.1126/science.abl4476

「弱い紐帯の強み」仮説とは?

「つながりの弱い人からは有益な情報がもたらされやすい」という仮説
「つながりの弱い人からは有益な情報がもたらされやすい」という仮説 / Credit:Canva

1973年、社会学者マーク・グラノヴェッター氏は「弱い紐帯の強み(よわいちゅうたいのつよみ)」と呼ばれる仮説を発表しました。

これは、新規性の高い価値ある情報は、家族や友人、職場の同僚などといった「つながりの強い人(強い紐帯)」よりも、数回会っただけの人、知り合いの知り合い程度の「つながりの弱い人(弱い紐帯)」からもたらされることが多い、という仮説です。

強い絆で結ばれている人々は、同じ価値観や環境をもつ場合が多く、そこで得られる情報も新規性に欠けるというのです。

対照的に弱い絆で結ばれている人たちは、全く異なった価値観・環境で生活していることが多く、自分の周囲からは到底得られない情報がもたらされる可能性が高いと考えられます。

そして「弱い紐帯の強み」仮説は、発表されて以来、多くの人に支持されてきました。

ネット社会である現代でも「弱い紐帯の強み」仮説は通用する?
ネット社会である現代でも「弱い紐帯の強み」仮説は通用する? / Credit:Canva

確かに転職においてもこの理論は当てはまるかもしれません。

私たちが求めているのは、代り映えのしない求人情報ではなく、めったに見られない優良な転職先だからです。

とはいえ近年では、「弱い紐帯の強み」仮説に対して、いくらか疑念も生じているようです。

例えば、2017年のタフツ大学(Tufts University)の研究では、オンラインで友人とのやり取りが増えることで、その友人と一緒に仕事をする可能性が高まると報告されています。

強い絆を深めることで新しい仕事が得られるケースもある、というわけです。

では、インターネット社会である現代においても「弱い紐帯の強み」仮説を信じるべきでしょうか?

この点を明らかにするため、アラル氏ら研究チームは大規模な調査を実施しました。

次ページ「比較的弱い絆」が転職を成功に導きやすい

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