「弱い紐帯の強み」仮説とは?
1973年、社会学者マーク・グラノヴェッター氏は「弱い紐帯の強み(よわいちゅうたいのつよみ)」と呼ばれる仮説を発表しました。
これは、新規性の高い価値ある情報は、家族や友人、職場の同僚などといった「つながりの強い人(強い紐帯)」よりも、数回会っただけの人、知り合いの知り合い程度の「つながりの弱い人(弱い紐帯)」からもたらされることが多い、という仮説です。
強い絆で結ばれている人々は、同じ価値観や環境をもつ場合が多く、そこで得られる情報も新規性に欠けるというのです。
対照的に弱い絆で結ばれている人たちは、全く異なった価値観・環境で生活していることが多く、自分の周囲からは到底得られない情報がもたらされる可能性が高いと考えられます。
そして「弱い紐帯の強み」仮説は、発表されて以来、多くの人に支持されてきました。
確かに転職においてもこの理論は当てはまるかもしれません。
私たちが求めているのは、代り映えのしない求人情報ではなく、めったに見られない優良な転職先だからです。
とはいえ近年では、「弱い紐帯の強み」仮説に対して、いくらか疑念も生じているようです。
例えば、2017年のタフツ大学(Tufts University)の研究では、オンラインで友人とのやり取りが増えることで、その友人と一緒に仕事をする可能性が高まると報告されています。
強い絆を深めることで新しい仕事が得られるケースもある、というわけです。
では、インターネット社会である現代においても「弱い紐帯の強み」仮説を信じるべきでしょうか?
この点を明らかにするため、アラル氏ら研究チームは大規模な調査を実施しました。