「比較的弱い絆」が転職を成功に導きやすい
研究チームは、世界最大級のビジネス特化型SNS「LinkedIn」の運営チームと協力し、2000万人以上のユーザーを対象とした5年間にわたる調査を実施しました。
LinkedInのサイトでは、5年間で20億の新しいつながりが生まれ、60万の転職が成功したようです。
そしてチームは、LinkedInの「つながり(FaceBookの”友達”状態)」やユーザー間のダイレクトメッセージから結びつきの強さを判定。
それら結びつきが転職の成功とどのように関係しているのか分析しました。
その結果、全体的として弱い絆の方が強い絆よりも転職につながる可能性が高いと判明しました。
しかし今回の調査では、「弱い紐帯の強み」仮説にいくらか調整を加えたような結果が出ています。
絆の強さと就職活動を分析したグラフは、「逆U字」になっていたのです。
就職活動の成果は、「最弱の絆(非常に薄いつながり)」から「やや弱い絆(あまり交流のない友人レベル)」まで高まっていき、その後「最強の絆(親族や親友など非常に強い絆)」に至るまで徐々に下がっていきました。
また研究チームは、ユーザーが社会ネットワークにおいて弱いつながりを増やすと、その人はより多くの仕事に応募できたり、より多くの仕事を得たりするという関連性も発見しました。
これらの結果について、カンザス大学(The University of Kansas)に所属するネットワーク科学者キャメロン・ピアシー氏は、次のように述べて同意を示しています。
「“求職者はやや弱い絆の相手を頼るべき”という結果は、これまでに行われた小規模な研究結果とも合致しています」
最弱の絆で結ばれた人は求職者に関する十分な情報をもっておらず、逆に最強の絆で結ばれた人は求職者の長所と欠点をあまりにも多く知りすぎており、これらが就活には不利に働くというのです。
そして上記のどちらでもないやや弱い絆で結ばれた人は、「求職者とは共通の知人が何人かいるから推薦してもいい」と考えることも多いのだとか。
最弱の絆と最強の絆の間には「採用されやすいスイートスポット」があるのです。
とはいえ、今回明らかになった傾向は、リモートワークが可能な仕事など、デジタル化された職場にのみ適用されます。
ほとんどデジタル化されていない地域密着型の仕事には当てはまらないかもしれません。
現在、転職を考えている方は、今回の傾向を十分に当てはめてみると良いでしょう。
新しい出会いを意識し、弱い絆を増やすのです。
少し交流するだけでも、「ちょっとした知り合い」にまで発展するかもしれません。
そんな彼らが、私たちにとって最高の仕事を紹介してくれるはずです。