キツネザルは気温が30℃を超えると木の根元に抱き着くと判明!
シファカはマダガスカルの森林に生息するキツネザルの一種です。
シファカたちは主に樹上生活を送っていますが、ときには地上に降りて、ジャンプするように跳ねながら移動することも知られています。
後ろ脚で跳ねながら移動する彼らの様子は非常に印象的であり、多くの人々に愛される要因にもなっています。
イェール大学の人類学科に属するクロエ・チェンクラウス氏らはある日、そんなシファカたちの奇妙な光景を目にします。
1匹から数匹のシファカたちが木の根元に座り込んで、木の根元に抱き着いていたのです。
樹上生活を送る彼らにとって地上は捕食者に襲われかねない危険な場所です。
彼らが地上で飛び跳ねるように急いで移動するのも、地上にいる時間を少しでも節約するためなのです。
そこで研究者たちはシファカたちの抱き着き行動が、何らかの意味を持っていると考え、6つのシファカたちのグループを対象に、合計615.7時間にわたる観察を行いました。
結果、20匹以上のシファカたちにおいて、計64回の抱き着き行動が観察されました。
観測期間に確認された抱き着き行動はのべ32.8時間にのぼり、1回の抱き着き時間は短いもので1分、長いものは4時間に及びました。
またシファカたちの抱き着き行動と気候条件を比較したところ、抱き着き行動は主に30℃を超えるような暑い日に多く見られる傾向があり、30℃から1℃上昇するたびに、抱き着き行動を起こす頻度が2倍に増えていきました。
つまり暑くなればなるほど、抱き着きが増えていたのです。
そこで研究者たちは次に、シファカたちが抱き着いていた木の根元の温度を調べてみることにしました。
すると意外なことに、木の根元の表面温度は周囲の空気の温度に比べて平均して4℃以上冷たいことが判明します。
この結果から研究者たちは、シファカたちは暑さから逃れるために、冷たい木の根元に抱き着いていたのだと結論しました。
真夏に動物園のシロクマが大きな氷の塊をもらって嬉しそうにしている風景をみたことがある人かもしれません。
野生で暮らすシファカたちには氷をくれる飼育員がいませんので、自分たちで体を冷やしてくれる木の根元を探し当てたのでしょう。
しかし、より興味深い結果は、シファカたちが抱き着いていた木の種類にありました。