お気に入りの「木の根元」は冷たくツルツルしている
今回の研究では、シファカたちの抱き着きが行われたときの気候条件や木の根元の温度に加え、抱き着いていた木の種類も調べられました。
結果、抱き着く対象として特にお気に入りの木が存在することが判明します。
最もよく抱き着かれていた木はTanjaka (Olax sp.)であり、木の根元の温度と空気の温度の差は6.7℃となっていました。
次いで温度差が4.1度のSasavy (Salvadora angustifolia)、4.6度のHazombalala (Syregada chauvetiae)が人気となっていました。
また人気だった木の表面は起伏が少ない「ツルツル」のものが多い傾向にありました。
研究者たちは「ツルツル」の表面の木のほうが抱き着いた時に体と接する部分が多いため、より効果的に身体を冷やせる可能性があると述べています。
研究者たちは論文の最後に、地球温暖化の影響について述べています。
温暖化研究によれば、シファカたちが生息するマダガスカル南西部の平均気温は2055年までに1.5~2.5℃上昇すると考えられています。
温暖化が進行すればシファカたちが木の根元に抱き着く頻度は確実に上昇していくでしょう。
一見すると面白可笑しく見えるシファカの抱き着き行動ですが、その原因と予測される未来を考えると、実は恐ろしい光景なのかもしれません。