「エネルギー変換器の集合体」が新たな発電システムを生み出す
風力発電では、風の力で風車が回り、その回転運動を発電機に伝えて電力を生成します。
同様に従来の発電システムの多くは、多くの剛性部品から成り立っており、直接タービンを回したり、受け取ったエネルギーを外部の発電機に伝えたりしています。
また1つの発電システムにつき、1つのエネルギー変換器を利用するのが一般的です。
ところが新しく開発された技術「分散型エネルギー変換技術(DEEC-Tec)」では、1つの発電システムに複数の小型エネルギー変換器を利用するのだとか。
もちろん、「たくさんの小型タービンを繋げる」といった単純なものではありません。
研究チームによると、「DEEC-Tecの技術は、1990年代後半に登場した誘電エラストマーのようなものです」とのこと。
誘電エラストマーとは、電場によって歪むゴムのような素材であり、人工筋肉としての応用が期待されてきました。
そして、誘電エラストマーが「電力によって素材を歪める」のに対し、DEEC-Tecは「素材の歪みによって電力を生成する技術」です。
つまり、柔軟性のある素材1つ1つが発電機(エネルギー変換器)として機能するのです。
DEEC-Tecでは、それら複数の小型発電機をまるで筋肉細胞のように組み合わせています。
研究チームは、DEEC-Tecをウミヘビに例えて次のように述べています。
「ウミヘビが泳げるのは、たくさんのしなやかな筋肉細胞が複雑に連携しているからです。
DEEC-Tecでは、個々のエネルギー変換器が筋肉細胞のように連携して、ウミヘビのような大きな構造を作り上げています。
再生可能エネルギーを変換する多くの装置では1つの変換器を使用しますが、DEEC-Tecは多くの小型変換器を集めて、より大きく、時に柔軟なエネルギー変換システムを形成できます」
つまり、DEEC-Tecとは柔軟性のある小型エネルギー変換器の集合体であり、その特性により、これまでにない発電方法を生み出せるのです。
では、実際にどのような応用が可能なのでしょうか?