座ったままでも糖代謝と脂肪燃焼を促進する運動方法を発見
現在、平均的なアメリカ人は1日約10時間座っているとされています。
これまでの研究で、座りすぎは心臓病・糖尿病・認知症などのリスクを高めることが知られており、散歩など定期的な運動が推奨されています。
しかし推奨されてはいても、多くの人々は行動に移しておらず、座りがちな生活から抜け出すことは難しくなっています。
そこでヒューストン大学の研究者たちは以前から、座ったままの簡単な運動でも、全身の代謝を数倍に上げる方法を探しており、今回、ふくらはぎの筋肉として知られるヒラメ筋の収縮運動の有効性を調べることにしました。
ヒラメ筋は歩行時のエネルギー消費を最大限に節約するように作られていますが、通常の歩行時には行われない収縮運動を行った場合の反応は未知数でした。
結果、座っている間にヒラメ筋の収縮運動を繰り返すことが、血中の糖分や脂肪の消費を促進する効果があることが判明します。
通常の筋肉はグリコーゲンと呼ばれる糖を分解したときに発生するエネルギーを利用して運動を行っています。
(※グリコーゲンを分解したときに発生するのが乳酸です)
しかしヒラメ筋の収縮運動ではグリコーゲンがほとんど消費されず、代わりのエネルギーとして血中の糖分や脂肪分が流用されていることが判明しました。
このような性質がヒラメ筋にあったことは知られておらず研究者たちも「この筋肉(ヒラメ筋)に血中の糖や脂肪を選択的に燃料とするような能力があるとは夢にも思わなかった」と述べています。
研究ではヒラメ筋にターゲットを絞った運動法が試されており、分析の結果、食後の血糖値の変動幅が52%改善され、インスリンの必要量も最大で60%減少することが示されています。
またヒラメ筋の収縮運動を続けている間、食事と食事の間の「断食時間帯」において、脂肪代謝率を通常の2倍にする効果も判明しました。
このような高い効果が得られた背景には、ヒラメ筋が疲れ知らずであることも大きな要因であるようです。
ヒラメ筋収縮はグリコーゲンの消費が非常に緩やかであるため乳酸が溜まりにくく、長時間の運動が可能でした。
そのため研究に参加した被験者たちは、座った状態で行われるヒラメ筋収縮運動を、何時間でも続けることが可能であり、持続的に血中の糖分や脂肪分を消費することにつながりました。
では、ヒラメ筋を収縮させる運動とは実際にはどんなものなのでしょうか?