デカすぎる…!現在の世界記録を400キロ以上も更新
マンボウは、世界各地の熱帯〜温帯の海に生息し、現生する「硬骨魚類」のなかで、最も重い種として知られます。
硬骨魚類とは、骨格の全体が硬骨でできており、マグロ・イワシ・サケなど、地球上にいる魚類の大部分を占めるグループです。
反対に、骨格もおもに軟骨からなる「軟骨魚類」には、サメやエイなどが分類されます。
このたび、硬骨魚類の最重量記録を塗り替えたのは、マンボウ属のなかでも特に大きいことで有名な「ウシマンボウ」の個体です。
ファイアル島を拠点とする研究チームは、昨年12月、同島の沖合で調査をしている際に、巨大マンボウの死体が横たわった状態で水面に浮いているのに遭遇しました。
水揚げ後、フォークリフトによる身体計測を行ったところ、体高約3.6メートル、全長約3.25メートル、体重2744キロに達することが判明しています。
同チームの海洋生物学者であるホセ・ヌノ・ゴメス=ペレイラ(José Nuno Gomes-Pereira)氏は、このマンボウについて、「まさに荘厳で、威厳のある標本(majestic specimen)だ」と評します。
また、「死体の写真だけでは、それが水中でどれがけ雄大に見えたかを正しく伝えることはできない」と付け加えました。
ウシマンボウは普段、水深0〜600メートルの間を行き来しており、大量のクラゲを主食としています。
クラゲはほぼ水分で、栄養価に乏しいのですが、数が多い上に捕食するのが簡単なので、のっそり泳ぐマンボウには最適な食料です。
水面に上がってきた際は、ペタッと横たわって日光浴をします。
これは、深海で冷えた体を温めるため、体に酸素を供給するため、カモメを呼んで全身の寄生虫を食べてもうらため、といった理由が指摘されています。
今回、水揚げされたウシマンボウの全身を調べたところ、頭部に大きな打撲の痕が見つかったという。
この傷跡は、マンボウが船体か何かに頭をぶつけて死んだことを示唆する一方で、死んだ後に頭をぶつけただけの可能性もあると推測されました。
マンボウは、その巨体やデリケートさゆえに飼育研究が困難な生き物であり、生態についても多くが謎に包まれています。
研究チームは現在、ウシマンボウの胃の内容物やDNAサンプルを採取し、分析にかけているとのことです。
水揚げ時や体重測定の様子は、こちらで公開されています。