エチオピアの隣接する湖が3色に分かれている理由
アフリカのエチオピア連邦民主共和国には、隣接する3つのカラフルな湖があります。
深い青色をした「シャラ湖(Lake Shala)」と緑色をした「アビジャッタ湖(Lake Abijatta)」、そして周囲の土地と同じく黄色に染まっている「ランガノ湖(Lake Langano)」です。
今回、NASA地球観測所が公開した衛星画像は2022年3月29日に撮影されたものであり、湖の色の違いをはっきりと示しています。
これらの湖は、かつて「ガラ湖(Lake Galla)」として知られていた古代水域の一部でした。
ところが地殻変動や降雨パターンの変化により徐々に干上がり始め、約2000年前までには分断され、今のような複数の湖になったようです。
では、もともと1つの湖で、現在でも隣接している3つの湖が、どうしてここまで異なった色になっているのでしょうか?
実は、それぞれの湖の水質、深さ、生息する生物、周囲の環境など、多くの要因が合わさった結果だと考えられています。
まずは上の画像に示すシャラ湖。
シャラ湖は12km×28kmのサイズであり、3つの湖の中で最も深く、最大深度266mにもなります。
周囲で温泉が湧いているだけでなく、シャラ湖の底には多数の噴気孔があり、硫黄が水中に送り込まれています。
結果としてシャラ湖はアルカリ性に大きく傾いた極端な水質になりました。
一般的なアルカリ性の湖と同じく、シャラ湖は中性の淡水湖に比べて生物生産性が高いと言われています。
実際、多くの甲殻類や微生物が生息しているようです。
そしてエチオピアの多くの湖とは異なり、藍藻類が豊富に存在することで、湖の色が濃い青色になっていると考えられています。
次は上に示す緑のアビジャッタ湖。
アビジャッタ湖は17km×15kmのサイズであり、最大深度14mと3つの中で最も浅い湖となっています。
それゆえ水量によって湖の面積が変化しやすく、過去50年間に面積が約3分の1まで減少しました。
アビジャッタ湖の水質は、シャラ湖と同じくアルカリ性です。
アビジャッタ湖が緑色をしているのは、湖の表面に植物プランクトンが大量に繁殖しているからだと推測されています。
最後は上に示す黄色のランガノ湖。
ランガノ湖は18km×16kmのサイズであり、最大深度は46m。その水は、主に東側の川から供給されています。
そして同時に、その川によって近くの山から、ミネラルを多く含んだ茶色の堆積物も運ばれてきました。
結果としてランガノ湖は、衛星写真では黄色に染まったように見えるのです。
エチオピアの他の湖とは異なり、住血吸虫症(じゅうけつきゅうちゅうしょう:長期にわたり内臓を痛める病気)を発症させる寄生虫が生息していません。
そのため多くの観光客や近隣住民に人気であり、ランガノ湖周辺ではウォータースポーツが盛んです。
エチオピアの3つの湖の色の原因はそれぞれ異なっていました。
もともとは1つの湖だったことを考えると、年月の流れがどれほど大きな影響を与えるものなのか驚きますね。