人工培養された毛包は移植後に自然な抜け変わりをするようになる
人工培養された臓器が生物の体の内部でも機能するかは重要な問題です。
そのため人工培養臓器(オルガノイド)を作成する研究では、しばしば作成された臓器や組織を体内に移植し、機能を維持し続けるかどうかが調べられます。
今回の研究では上の図のように、培養6日目の未熟な毛包を毛のないヌードマウスの皮膚に移植されました。
すると未熟な毛包はマウス皮膚で定着すると完全な毛包へと成熟し、毛の抜け変わりなどのサイクルを数回、10カ月以上にわたり繰り返したことが観察されました。
この結果は、幹細胞から人工的に培養された毛包が、マウスの皮膚で本物の毛包のように機能できることを示します。
研究者たちは今後、大本の材料となるマウス胚性幹細胞(ES細胞)をヒト多能性幹細胞(iPS細胞)へと置換する方法を解明していくとのこと。
人間の毛包オルガノイドをiPS細胞から作成することができるようになれば、移植用の毛包を大量生産できるようになるだけでなく、創薬や再生医療などの分野において人体実験の代替品として使うことが可能になるでしょう。