過去に発生した「ミヤケ・イベント」の原因は、スーパーフレアではなかった
今回、ポープ氏ら研究チームは、ミヤケ・イベントに関連した98の樹木年輪データを調査・モデル化し、それぞれのミヤケ・イベントの強さや時期、期間の詳細を明らかにしました。
その結果、各ミヤケ・イベントが放出した放射線は、本来なら1~4年かけて放出される放射線量に相当すると判明。
またミヤケ・イベントは、通常の太陽嵐よりも長期間続いていたことも分かりました。
例えば、紀元前663年のイベントは少なくとも3年間続いており、紀元前5480年のイベントは10年間も続いていたのです。
さらに、太陽活動周期(太陽の活動や見かけの周期的な変化)は11年周期ですが、ミヤケ・イベントはこの太陽活動周期に関係なく発生する可能性があると分かりました。
大規模な太陽フレアは太陽活動周期のピークで発生する傾向があるため、この結果はミヤケ・イベントがスーパーフレアとは関連していない可能性を示唆しています。
では、新しく判明したミヤケ・イベントの特徴を総合的に考えると、どのような原因が考えられるのでしょうか?
ポープ氏ら研究チームは、「ミヤケ・イベントの原因は、単体のスーパーフレアではない」と結論づけました。
私たちが将来起こるかもしれないと恐れている、大規模な太陽爆発「スーパーフレア」が原因ではなかったのです。
そしてチームは、「ミヤケ・イベントの原因は、単一の太陽フレアではなく、何度も何度も繰り返される太陽フレアではないか」と推測しています。
未だ観測されていないスーパーフレアも恐ろしいですが、過去に何度も生じてきた連続的な太陽フレア「ミヤケ・イベント」が近いうちに起こるかもしれないことを考えると、私たちを取り巻く状況はかなり深刻なのかもしれません。
とはいえ、現状では未解明な部分がたくさんあります。
研究チームは今後、塩素同位体の分析を進めることでミヤケ・イベントをさらに解き明かしていく予定です。