DNA鎖を利用したオブジェクト作り
DNAは主に「塩基」と呼ばれる物質で構成されています。
そしてこの塩基には、アデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)の4種類があり、それぞれが鎖のように繋がって並んでいます。
この塩基の配列が「生物の設計図」を示しており、並び方によって、作られるタンパク質の性質や働きが変わってくるのです。
つまり塩基は、遺伝情報を記すための「文字」であり、それが書き連ねられたDNA鎖は「文章」のような存在です。
しかし塩基やDNAが物質である以上、「遺伝情報を記憶する」以外にも、もっと物理的な使い方ができるようです。
DNAそのものを建築材料のように扱い、オブジェクトを作成できるのです。
実際、研究者たちは1980年代からDNAを用いた極小サイズのオブジェクトを作成してきました。
その方法とは、細長い紐とホチキスで立体的なオブジェクトを作るのに似ています。
長いDNA鎖を折り畳んで立体的な形を作った後、短いDNA鎖で「ホチキス止め」するのです。
これにより、立方体、ピラミッド型、球体など、シンプルな形状のオブジェクトが作成されました。
では、もっと複雑な形状を作成することは可能なのでしょうか?