地球の内核の回転速度が鈍化し逆転の兆候があると判明!
多くの人は「何時何分地球が何回まわったとき?」といった文句を幼い頃に耳にしたと思います。
大人になって振り返るとくだらなく思えますが、子供たちにとって地球の自転が時刻と結び付いているという内容は新鮮なのかもしれません。
しかし地球表面の回転数をしつこく気にする子供たちや大人の地球化学者たちも、地球内核の回転速度については多くを知りませんでした。
実際、地球内核が地球表面やマントルとは異なる速度で回転していることが証明されたのは1996年になってからだったのです。
また地球表面と内核の回転速度の差が360℃に達するのに必要な推定年数も、研究によって400年から1000年以上と大きな幅があり、詳しい理解にはほど遠い状況となっています。
そこで今回、北京大学の研究者たちは1960年代から現在にかけて観測された「内核を横断するタイプの地震波」を分析することで、内核の回転速度を調べることにしました。
地球の内核速度は70年周期で変動する
地震波のパターンは地殻やマントルの状態によって大きく異なることが知られているため、地球内核を通る地震波を分析することで、内核の状態変化を調べることができるからです。
たとえば、内核の回転速度が地殻と大きく異なる場合、内核を通過する地震波に大きな時差が発生します。
(※動く物体と動かない物体では伝達される地震波の状態に違いが出るからです)
その結果、2000年ごろまで地球の内核は表面よりも早く回転していたことが判明。
もし内核が透けて見えるとしたら、その頃の内核が自転方向に向かって前にズレて行っている様子がみえたでしょう。
しかし研究者たちが記録を調べたところ、2009年頃から内核の通過による時差がほとんどなくなっており、ここ数年では逆転の兆しすらみえはじめていることが判明します。
また過去のデータと比較すると、内核の見かけ上の回転方向は35年ごとに逆転する70年周期を取っていることがわかりました。
上のグラフは数十年以わたる内核の回転方向を可視化したものです。
グラフからは1970年代初頭をターニングポイントとして内核速度が増加に転じたものの、2009年頃にも再びターニングポイントを迎えて停滞し、減速の兆候を示していることが読み取れます。
では、このような内核の回転速度の差が地球の1日の長さやうるう秒の挿入パターンに影響を与えることはあるのでしょうか?