内核の回転速度が増加すると1日が短くなる
地球の自転速度は潮汐力の影響で徐々に減速していく運命にあります。
(※実際14億年前の地質を調べると、地球の1日が18時間ほどであったことが知られています)
しかし減速の状況は一定ではく「うるう秒」を追加する年もあれば追加しない年も存在します。
うるう秒とは地球が1回転する時間と24時間のズレを修正する制度であり、自転が24時間より遅い場合には追加され、早い場合には差し引かれることになっています。
たとえば1990年ごろの地球は1回転するのに24時間よりも約2ミリ秒ほど長くかかっていましたが、内核の回転速度が大きく上昇した2003年から2004年ごろには地球の1回転にかかる時間が24時間+1ミリ秒となっていました。
研究ではこのような内核の回転速度の早まりが、うるう秒の追加状況に影響を与えている可能性について述べられています。
実際1970年代では回転の遅さを補うために毎年のように「うるう秒」がいれられていたものが、2000年以降は挿入頻度が大幅に低くなっていることがわかります。
(※2003年と2004年の内核速度は他の時期に比べて特に早かったことがわかっています)
また70年周期といった長い期間ではなく、ここ10年あまりの内核速度と1日の長さにも一定の相関性がみられます。
たとえば2015年ごろから内核の速度が上がり始めると、うるう秒の追加はめっきり少なくなり、2020年以降は1日の長さが逆に短くなりはじめていることがわかります。
(※ただし70年周期説が正しい場合、内核速度の上昇は一時的で再び1日の長さは増えていき、うるう秒の追加も頻繁になると考えられます)
このような内核速度と1日の長さにリンクがみられるのは内核もそれを包む固体マントルもどちらも完全な球体ではなく多くの凸凹があるためだと考えられます。
つまり内核が加速すれば地球表面も引っ張られて加速され、内核が減速すれば地球表面にもブレーキがかかるのです。
研究者たちは、内核速度の周期性は地球の平均気温や海面上昇、気候パターンとも奇妙な一致をみせていることにも言及しており「地球のさまざまな層にまたがる共鳴システムが存在している可能性がある」と述べています。
地球内核の速度変動に関しては22年6月にも米国の南カリフォルニア大学(USC)より類似した研究が発表されています。