塩害をもたらす従来の融雪剤
大雪や路面凍結による交通機関の麻痺は、多くの人々を苦しめます。
最近では、アスファルトの表面が氷で覆われる「ブラックアイスバーン」の危険性が話題になっています。
薄い透明な氷に覆われた路面は濡れただけの路面と見分けることが難しく、速度を落とすことなく突入した結果、多くの車がスリップしてしまうのです。
こうした路面凍結の解決策として、長年、融雪剤が使用されてきました。
融雪剤には、塩化ナトリウムや塩化カルシウムなどの塩化物が利用されており、路面に散布することで水の融点を数十度も低下させる効果があります。
これにより路面に雪が積もったり、凍結するのを防いでいるのです。
ところが散布された塩化物は、自動車を錆びさせたり、植物の生育を妨げたりします。
またこれらが淡水湖に流入することで、水質や水生生物に悪影響が及ぶこともあります。
もちろん融雪剤を使用せずに、砂を大量に散布したり、路面を加熱したりする方法もありますが、いずれにしても環境に悪影響を与えたり、ランニングコストが高くついたりします、
近年では、定期的に融雪剤を散布しなくて済むように「塩化物を練りこんだアスファルト」が開発されています。
しかし効果継続期間は1~3年だと言われており、あまり長く持ちません。
そこでチュウ氏ら研究チームは、環境や自動車に優しく、しかも長持ちする融雪方法を開発することにしました。