オシッコにかかるエネルギーを節約するため?
その理由はおそらく、ヨコバイの食事習慣にあると思われます。
ヨコバイは植物から取れる液体を主食にしていますが、この液体は95%が水分で栄養分がかなり少ないのです。
そこで必要な栄養分を摂取するためにほぼ一日中この液体を飲み続け、栄養のない水分はオシッコとして絶えず捨てなければなりません。
実際、ヨコバイは1日に自重の300倍ものオシッコをしているそうです。
(ちなみにヨコバイのオシッコは99%が水分で、老廃物がほぼない)
しょっちゅうオシッコをするのですから、なるべく排尿にかかるエネルギーを抑える必要があると予想されます。
ヨコバイの排尿の実際のスピードがこちら。
そこでチームは、マイクロCTスキャンを用いてヨコバイの体内の動きを調べ、その情報をもとに肛門からオシッコを飛ばすのにかかる圧力やエネルギー量を計算しました。
その結果、ヨコバイの排尿は、セミのようなジェット噴射型の排尿と比べて、1回に必要なエネルギーが4〜8倍も少ないことが分かったのです。
ヨコバイはセミ科の昆虫ですが、セミも同様に樹液を主食とするため、水分の多い食事によって頻繁に排尿をしています。
ただセミは体の構造的に膀胱の筋肉に力が入ると、自然にオシッコが排出されるようになっています。
そのため、飛び立つ瞬間などに無意識的にジョバッとオシッコが出てしまうのです。
セミ取りをしたことがある人なら、セミにオシッコを引っ掛けらた経験があると思いますが、その理由はこの排尿システムにあります。
しかしヨコバイはセミと比べて体が小さいため、なるべくオシッコにかかるエネルギーは抑えたかったのでしょう。そのためカタパルト式の排尿システムを進化させたと考えられます。
今回得られた知見は「ヨコバイをヒントにした工学的設計によるエネルギー効率の高いソフトロボットの開発に役立つ」と研究チームは考えています。