ピラミッドの内部は既知の空間が全てなのか?
クフ王のピラミッドは、古代エジプト第4王朝のファラオ・クフ王の墓として約4500年前に建造されました。
同じ時期に建てられた他のピラミッド群と比べて、内部が非常に複雑な造りになっていることで有名です。
下の図をご覧ください。
ピラミッド内部には「地下の間(a)・女王の間(b)・王の間(d)」があり、それぞれ通路でつながっており、中心部には王の間へと通じる「大回廊(c)」と呼ばれる巨大な空間があります。
また北側には、クフ王のピラミッドにしか見られない「シェブロン(h)」と呼ばれる切妻屋根(シンプルな三角屋根のこと)のような石組みがあります。
シェブロンの下には、建造当時のピラミッドの入り口があり、その通路は地下の間へと向かうことから「下降通路(e)」と呼ばれています。
しかし観光客は現在、この通路からは内部へ入ることができず、代わりに「アルマムーンの通路(g)」という後世に作られた別の水平通路から入り、「上昇通路(f)」を昇って大回廊を抜け、王の間を見学することができます。
このようにピラミッドは現在観光で入ることもでき、通路でつながった内部の構造はだいぶ特定されています。
しかし、誰もが想像するように、これだけ巨大なピラミッドの内部で部屋や通路になっている空間というのは、たったこれだけなのでしょうか? それ以外の部分は全部石のブロックで埋まっているのでしょうか?
ピラミッドにはまだ我々の知らない隠された構造が存在しているのではないか? これは誰の頭にも浮かんでくる疑問でしょう。
当然研究者たちも同様の疑問を抱いており、ピラミッドの未知の内部構造についての調査を開始しました。
ただ、当然世界遺産であるクフ王のピラミッドを傷つけわけにはいきません。
そこで今回の研究チームは、ピラミッドの内部構造をレントゲン撮影するように透視して調査したのです。
しかし一体どうやって、巨大なピラミッドのレントゲンを撮るのでしょうか?
そのために用いられたのが宇宙から降り注ぐ宇宙線です。