広告の背景によって製品の印象が変わる?
私たち消費者が商品に「新しさ」を感じることは、企業にとって、売上や製品の普及に重要な要因とされています。
ここでいう「新しさ」とは、買い手が製品に対し「新規性や創造性があって革新的」と感じる大きさを指します。
これは新しいというイメージが高まるほど、消費者の購買意欲が刺激されるので、広告宣伝において大切なポイントとなります。
従来のマーケティングでは、製品の新しさを提示する際は、デザインや機能の改良点をアピールすることが重要だとされてきました。
しかし製品のリニューアルなどでこの点を強化しようとすると、製品の再設計や生産プロセスの変更を迫られ、多額のコストや時間を要してしまいます。
そこで研究チームは、金銭的・時間的なコストをあまり必要としない広告画像に注目しました。
中でも広告の背景画像は、製品のコンセプトを伝えるために重要な役割を果たしています。
広告に最適な背景画像を使用できれば、製品に狙い通りのイメージや印象を形成することができます。
![広告の背景で印象は大きく変わる](https://nazology.kusuguru.co.jp/wp-content/uploads/2023/04/c3cc0001b735024f67ad4f446e57be53-900x600.jpg)
また興味深いことに、先行研究から消費者が製品に対して「新しさ」を感じる要因の一つとして「曖昧さ」があることが分かっています。
「曖昧さ」とは、製品の特徴を明確に評価することの難しさを指し、この程度が高いほど私たちは「製品が新しい」と感じやすくなるそうです。
しかし一方で、広告の背景画像がどのように製品の新しさのイメージに繋がるかは明らかになっていませんでした。
この疑問の答えを見つけるために着目されたのが「冷たさ」です。
同チームの研究者は以前、実際にある自動車広告の「冷たさを感じさせる背景」を見て、「新製品に新しさを強く感じた」といいます。
そこで私たちは「冷たさ=新しさ」という連想を無意識のうちに持っているのではないかと仮説を立て、調査を開始しました。