仲が良いときと悪いときで異なるネコの行動
研究者たちは各ネコの行動を「取っ組み合い」「発声」「追いかけっこ」「見つめあって動かない状態」「相互に接近するなど動いている状態」「毛づくろいをするなど相手に興味を示していない状態」の6つに分類しました。
これらの6つの行動と先ほど紹介した3つのネコのやりとりの相関を調査することで、ケンカとじゃれあいの行動の違いが明らかになったのです。
長い「取っ組み合い」は仲良しの証拠
じゃれあいと分類された動画の多くに「取っ組み合い」の行動が見られました。
一方でじゃれあっている2匹のネコの間で発声はほとんど見られませんでした。
ネコは縄張り争いなどの敵対的行動の際にはある一定の距離をとって唸り声を上げるなど直接の接触を避ける傾向にあります。
また「取っ組み合い」は子猫同士によく見られる遊びです。
成猫同士においても発声を伴わない「取っ組み合い」は遊びの延長だと考えられます。
ケンカによって「取っ組み合い」の場面がないわけではありませんが、ケンカの場合は単なる「攻撃」なので瞬間的に終わります。
長い間「取っ組み合い」をしているなら、じゃれあっているだけという可能性が高いでしょう。
ケンカするときは「発声」が多くみられる
ケンカしているネコたちの多くに唸り声などの「発声」が見られ、発声しながら互いを見つめあい動かない様子が観察されました。
片方のネコが逃げた際には「追いかけっこ」のように追いかけまわすようすも見られましたが、この行動はじゃれあいの際も「取っ組み合い」に至る前後に見られた行動です。
このため「追いかけっこ」の段階ではケンカか遊びかを判断することは難しく、「発声」があって初めてケンカと言うことができそうです。
打ち解けていない間柄では付かず離れずのやりとり
じゃれあいとケンカの「中間」と判断されたグループでは、2匹のネコが長時間にわたりさまざまな行動で付かず離れずのやりとりを続ける傾向がありました。
中間のネコたちは時々休止を挟みながら、仰向けに寝転がる、飛び掛かる、つきまとう、互いに毛づくろいをしあうといった行動をとるようすが観察されています。
このようすから中間のやりとりは、特にネコ同士の関係が悪いわけではなく、それぞれのネコの心理がかみ合っていない状態だと推察されます。
余談ながら、これは我が家のネコでも見られる状態です。
片方のネコは遊びたいと思って近づいたり接触したりするのですが、もう片方は声での威嚇や追いかけっこといったケンカに近い行動をとっています。
ただ、お互い相手が気になってはいるのか、完全に離れることはなく、このような状態が10分以上続くことも少なくありません。
中間のネコ同士のやり取りも続けるうちに互いの意思が同じになれば、じゃれあいやケンカに発展します。
刻一刻と変化していくネコ同士のやりとり。
私たちはこの研究結果を経て、どのようにネコと接したらいいのでしょうか?