クマは冬眠中でもエコノミー症候群にならない
静脈血栓塞栓症(じょうみゃくけっせんそくせんしょう)とは、足などの静脈に血栓が生じることで、静脈が詰まったり、その血栓が血流にのって肺の動脈で詰まったりする疾患です。
血の巡りが悪くなることが発症の原因の1つであり、長時間の飛行機移動などでそのリスクが高まります。
それゆえ、「エコノミークラス症候群」または「エコノミー症候群」とも呼ばれ、突然死のリスクとも関連すると考えられています。
しかし冬眠するクマは、数カ月間も同じ姿勢で眠り続けるにもかかわらず、エコノミー症候群になることはありません。
この時、クマの心拍数は1分間に10回であり、血の巡りが極端に悪い状態にあります。
それなのになぜ冬眠中のクマは長期間動かなくても、血管中に血栓が発生しないのでしょうか?
オーフス大学およびドイツの研究者グループは、13年以上も前から、クマがエコノミー症候群にならない理由を解明すべく、様々な研究を行ってきました。
ある時点でチームは、血栓の発生に関係する「血小板の粘着性」が、冬のクマでは低いことを発見。
そしてこの理由を解明するため、スウェーデンに生息する13頭のヒグマにGPS付きの首輪を装着し、季節ごとに血液サンプルを採取・比較しました。