冬眠中のクマに血栓ができない理由を解明
分析の結果、冬眠中のクマには「HSP47(Heat shock protein 47)」というタンパク質がほとんどないと分かりました。
HSP47は通常、骨や軟骨などの結合組織を構成する細胞に見られます。
加えて、血小板の表面を覆い、白血球の一種である「好中球」を引き付けて結合。血栓形成に関与する「網状構造」を作り出す働きがあるようです。
この「網」はタンパク質や病原体、細胞を閉じ込めて血栓を作り出すため、HSP47のレベルが高いと血栓が発生しやすくなります。
そして冬眠中のクマは、HSP47のレベルを活動期の約50分の1まで低下させることで、血の巡りが悪くても血栓が発生しないようにしていたのです。
しかもクマが活動期に戻ると、このHSP47のレベルは元に戻っていました。
この特性を人間にも適用するなら、静脈血栓塞栓症(エコノミー症候群)の新しい予防薬・治療薬を開発できるかもしれません。
次にチームは、血栓の発生とHSP47の関連を他の動物で確かめるため、HSP47を生成しないよう遺伝子操作したマウスを作り出しました。
その結果、このマウスでは血栓がほとんど発生しませんでした。
では、人間でも同様の効果が得られるのでしょうか?