冬眠中のクマは血の巡りが悪くても血栓ができにくい
冬眠中のクマは血の巡りが悪くても血栓ができにくい / Credit:Ole Frobert(Aarhus University)_Researchers decode the secret of bears in pursuit of new treatment against blood clots(2023)
medical

冬眠中のクマがエコノミー症候群にならない理由を解明! (2/3)

2023.04.17 Monday

前ページクマは冬眠中でもエコノミー症候群にならない

<

1

2

3

>

冬眠中のクマに血栓ができない理由を解明

分析の結果、冬眠中のクマには「HSP47(Heat shock protein 47)」というタンパク質がほとんどないと分かりました。

HSP47は通常、骨や軟骨などの結合組織を構成する細胞に見られます。

加えて、血小板の表面を覆い、白血球の一種である「好中球」を引き付けて結合。血栓形成に関与する「網状構造」を作り出す働きがあるようです。

この「網」はタンパク質や病原体、細胞を閉じ込めて血栓を作り出すため、HSP47のレベルが高いと血栓が発生しやすくなります。

冬眠中のクマは血栓の発生に関わるタンパク質「HSP47」のレベルが低い
冬眠中のクマは血栓の発生に関わるタンパク質「HSP47」のレベルが低い / Credit:Ole Frobert(Aarhus University)_Researchers decode the secret of bears in pursuit of new treatment against blood clots(2023)

そして冬眠中のクマは、HSP47のレベルを活動期の約50分の1まで低下させることで、血の巡りが悪くても血栓が発生しないようにしていたのです。

しかもクマが活動期に戻ると、このHSP47のレベルは元に戻っていました。

この特性を人間にも適用するなら、静脈血栓塞栓症(エコノミー症候群)の新しい予防薬・治療薬を開発できるかもしれません。

次にチームは、血栓の発生とHSP47の関連を他の動物で確かめるため、HSP47を生成しないよう遺伝子操作したマウスを作り出しました。

その結果、このマウスでは血栓がほとんど発生しませんでした。

では、人間でも同様の効果が得られるのでしょうか?

次ページ長期間動かない人間は「血栓が発生しにくい体」になっていた

<

1

2

3

>

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

Amazonお買い得品ランキング

医療のニュースmedical news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!