種類の異なる繊維を織り込んだ「スマートファブリック」
センサー、チップ、LEDなどを組み込んだ布素材「スマートファブリック」の開発が近年盛んになっています。
例えば、こうした素材を使って「着るディスプレイ」などが誕生しています。
普通の衣服のように洗濯も可能でありながら、任意の映像や文字を表示させられるのです。
これは映像に特化したスマートファブリックですが、他の機能を持たせたスマートファブリックの開発も進んでいます。
今回、カムカー氏ら研究チームが開発したのは、熱と電気に反応して色と形の両方を変化させるスマートファブリックです。
1つの刺激で1つの反応を見せる刺激応答性材料(例えば「熱で曲がる」など)は珍しくありませんが、新しいスマートファブリックは、「複数の刺激」による「複数の反応」を可能にした点で新しいものです。
この新素材は、異なる素材のよこ糸とたて糸を従来の織機と同様の装置を使って作成されました。
よこ糸には、ペットボトルの名称の由来でもあり、形状記憶の特性を持つ素材「ポリエチレンテレフタラート(PET)」と、温度変化で色が変わる材料「サーモクロミックマイクロカプセル(TMC)」が使用されています。
たて糸には、電気的特性を持つ「ステンレス鋼繊維」とPETでできた混紡糸が用いられました。
柔らかい素材と硬い繊維の組み合わせにより、丈夫でありながら布のような柔軟性を備えることができました。