超大質量ブラックホールが巨大なガス雲をゆっくりと消費している説
ワイズマン氏ら研究チームは、AT2021lwxに関する様々な説明を検討し、調査を続けた結果、別の理論を提案しています。
彼らの説は、「太陽の数千倍もの大きさをもつ巨大なガス雲が、超大質量ブラックホールによってゆっくりと消費されている」というもの。
ブラックホールの周囲に存在していた巨大なガス雲が、その軌道から外れてブラックホールに飲み込まれ、これによって巨大なエネルギーの放出が生じ続けているというのです。
この説からすると、AT2021lwxは「クエーサー」に似ているように感じられます。
確かに宇宙でAT2021lwxと同等の輝きを持ち長期間持続している天体は、宇宙で最も明るい天体の1つであるクエーサーくらいです。
そしてクエーサーの正体は、銀河の中心にある超大質量ブラックホールだと考えられています。
このブラックホールが周囲のガスや塵を取り込むことで明るく輝いているのです。
しかしAT2021lwxが存在する場所には、銀河の存在を示す証拠が見つかっていません。
ワイズマン氏は、「AT2021lwxは3年前に何もないところから突然燃え上がり、今も燃え続けている。どこからともなく突然現れたのだ」と語っています。
観測史上最大の宇宙爆発「AT2021lwx」の正体は、未だ謎に包まれています。
今後チームは、彼らの理論を確かめるため、更なるデータ収集とシミュレーションを実施する予定です。