ハキリアリが完成させた「農業システム」が凄い
ハキリアリは北米〜中南米の熱帯雨林に生息するアリです。
その名の通り、葉っぱを切ることを生業とし、自分たちの何倍も大きな葉を切り出して巣まで持ち運びます。
何百匹ものアリが列を作って帰路につくので、傍目にはまるでたくさんの葉っぱが地面を歩いているように見えます。
持ち帰った葉は広大な地下農場に貯め込まれ、そこに「アリタケ」と呼ばれるハラタケ科の菌類が植え付けられます。
アリタケは葉っぱを栄養源にして増殖しながらキノコへと成長していきます。
さらにハキリアリは農場に生えた雑草を引き抜いたり、自分たちのうんちを肥料として撒きながらキノコを栽培するのです。
また農場には余計な雑菌が入り込むことがあり、そちらの雑菌が増殖しないように気をつけなければなりません。
そこでアリたちは、体表面に共生する特殊な菌が作り出す「抗生物質」を定期的にキノコ畑に塗り込んで、雑菌を退治しているのです。
小さなアリがこれほど管理された農業システムを完成させていることは極めて驚きでしょう。
しかもハキリアリのキノコ栽培が進化したのは今から5000万年前と言われています。
このようにハキリアリの農業システムの解明が進む一方で、彼らがいかにして葉っぱをキレイな半円や楕円形に切り出しているのかは不明でした。
そこで研究チームは「葉切り」のメカニズムを解明することにしたのです。