宇宙から見ると「雷雨」はどんな動きをしていた?
まず最初は地球上で最も雷の多い地域のひとつである「中央アフリカ」を撮影したものです。
ESAのYou Tubeチャンネルでは2023年6月7日午前0時〜6月11日午後23時59分までの5日分までの映像が公開されています。
動画では、中央アフリカが他の地域に比べて、圧倒的に雷の発生数が多く、雷を伴った雲が東からの気流に乗って北西に移動しているのが確認できます。
この撮影では特に、午後から夕方にかけて雷の発生率が高くなることが分かりました。
続いては「アフリカ北部とヨーロッパ」を中心に撮影した映像です。
公開された動画全体のデータは2023年6月2日午前0時〜6月6日午後23時59分までの5日分で、撮影時には大きな高気圧に覆われていたため、雲がほとんどありませんでした。
(高気圧では下降気流となるため雲ができにくく、反対に低気圧では地表から上昇気流が生じるため上空に雲が発生しやすい)
その中でも雷雨がよく集中しているのが、南ヨーロッパの地中海周辺です。
ここでは暖かい6月上旬に入ると、毎日のように局所的な雷雨が発生するといいます。
これらの雷雨は日中に太陽が地面を温めることで形成され、日没後には比較的早く消滅するという。
そして最後はアフリカ西部と南米の東側を含む「大西洋上」のエリアです。
動画全体では先と同じく、2023年6月2日午前0時〜6月6日午後23時59分の5日分を示しています。
ここでは、熱帯性の雷雨のクラスターが東(右下)から西(左上)へゆっくり移動する「熱帯収束帯(ITCZ)」が映し出されています。
熱帯収束帯とは、大気の循環の中で赤道付近に形成される低気圧帯のことで、雷雨がとても発生しやすい条件が整っています。
6月〜11月にかけて大西洋の海水温が十分に高まれば、雷雨の一部がハリケーンに発達するとのことです。
2024年には運用開始
以上の映像はLightning Imagerの試運転の初期結果であり、まだ改良の余地があるといいます。
それでも地上からの雷観測が難しい遠隔地や海洋上において、Lightning Imagerは多大な力を発揮するでしょう。
こうした情報は地上にいる人々の安全を守るだけでなく、海洋上を飛行する航空機の雷回避にも役立つと期待されています。
Lightning Imagerは2024年初めには実際の運用を開始する予定とのことです。
こちらは前ページで紹介した「Lightning Imager」の機能説明の映像になります。