保存状態が完璧すぎる白亜紀の化石
調査された化石は2012年に、中国東北部・遼寧(りょうねい)省にある約1億2500万年前の白亜紀地層で発見されたものです。
この地域は白秋に噴火した火砕流によって急速に埋没し、恐竜の多くが完璧な状態で保存されていることから「中国の恐竜ポンペイ(China’s dinosaur Pompeii)」と呼ばれています。
(ポンペイとは西暦79年のヴェスヴィオ山の噴火で埋没した古代ローマ時代の都市のこと)
しかし今回の化石は発見以来ずっと保管されたままであり、今日まで詳しく研究されていませんでした。
それがこちらです。
骨格の全体が見事なまでに保存されているのが分かるでしょう。
ここには白亜紀に存在した2種の古生物が絡み合う状態で写されています。
1つは「プシッタコサウルス・ルジアトゥネンシス(Psittacosaurus lujiatunensis)」という草食恐竜です。
プシッタコサウルス属は約1億2500万〜1億100万年前に、現在のモンゴル、中国、タイに広く分布していました。
体長は1〜2メートルほどで、オウムのような硬いクチバシを持ち、後脚の二足で歩き、前手には鋭い鉤爪があります。
もう1つは「レペノマムス・ロブストゥス(Repenomamus robustus)」という現代のオポッサムに似た哺乳類です。
レペノマムスは白亜紀前期の中国に存在し、小型と大型の2種がいました。
R. ロブストゥスは小型種の方で、大人でも体長50センチほどしかなく、プシッタコサウルスの半分以下だったと見られます。
それでも当時の世界では、世界最大級の哺乳類のひとつでした。
では、この化石は具体的にどのような状態を示していたのでしょうか?