「片面が水素、片面がヘリウム」になる理由とは?
チームはこの発見に当惑しており、まだ原因の解明には至っていませんが、可能性のある理論を提唱しています。
最も有力な説はヤヌスが白色矮星の進化の稀な段階を経ている真っ最中というものです。
研究主任のイラリア・カイアッツォ(Ilaria Caiazzo)氏は「すべてではないものの、白色矮星の中には表面が水素主体からヘリウム主体に移行するものが知られている」と説明。
「私たちはその進化の最中にある白色矮星を捉えた可能性がある」と続けます。
白色矮星が形成されると、重い元素は中心部に沈み、軽い元素 (水素が最も軽い)は上部に浮かびます。
しかし時間の経過とともに白色矮星が冷えると、それらの物質は互いに混ざり合い、内部のヘリウムが表層に広がるほど希釈される可能性があるようです。
他方で、この仮説が正しいとしても片面ずつバラバラに変化していく点は謎です。
これについてカイアッツォ氏は「磁場に答えがある」と推測します。
「白色矮星の周りの磁場は非対称であるか、どこか一部が他より強い傾向があります。
磁場は物質の混合を防ぐことができるので、磁場が一部の面で強い場合、元素の混合が抑制され、片面だけ水素が表面に残されるのかもしれません」
ただし、これらはあくまで仮説の域を出ておらず、謎の解明にはさらなる観測が必要です。
カイアッツォ氏は、今回と同じようなヤヌス型の白色矮星を他に見つけることができれば、2つの異なる顔を持つに至った原因も明らかにできるだろうと考えています。