あなたの予想どおり「犬種ごとの痛み感受性」は異なる
これまで、犬の痛み感受性に関する研究は、獣医師や飼い主の主観に基づいた調査方法で行われてきました。
それは、犬に痛みを与える可能性のある研究が、倫理的な観点から避けられてきたからです。
ヒト対象の研究と同様に、動物を対象とした研究にも厳しい倫理的審査があり、仮に使命感に燃えた研究者が「やってみたい」と申請しても、研究倫理委員会がNGと判断すれば、その研究は進められません。
本研究では、犬への刺激を最小限に抑えつつ、痛みの閾値を調査する量的感覚試験(QST)という手法が採用されました。
これは痛みを感じない部位に対して標準化された刺激を与え、犬の反応を評価することで、痛みを感じやすさを調査する研究方法です。

また、犬が痛み以外の要因によって反応する可能性も考慮し、感情反応テスト(ERTs)による行動評価も併せて実施されました。
具体的には、「新奇物体テスト(音を立てて動く猿のぬいぐるみに対する反応を観察)」と「不快そうな他人テスト(大声で電話をしている見知らぬ人に対する反応を観察)」を使って、犬の反応が観察したのです。

結果、どれだけ早く痛みを感じるか、どれだけの刺激で痛みを感じるかなどの痛み感受性は、犬種によって異なることがわかりました。

これにより、獣医師による痛み感受性の評価と、実際の痛み閾値のデータは一致しないことがあることも明らかになりました。
たとえば、「高感度」に分類されたシベリアン・ハスキーは、各種テストによれば「中感度」に属することが示されたのです。
しかしなぜ、動物を扱うプロであるはずの獣医師の評価の方が事実と異なってしまったのでしょうか?