日傘を地球の前に固定する方法とは?
この計画では地球に日傘をつなげるわけではありませんから、太陽風と関係なく、小惑星がどこかに浮遊していってしまう可能性があります。
そこでサプディ氏が考えているのは、地球と太陽の「ラグランジュ点」に日傘を置くことです。
地球の公転軌道上には、太陽と地球の重力バランスがつり合う特殊なポイントが5つあります。
これをラグランジュ点と呼び、このポイントに天体があると、太陽と地球との相対的な位置関係が変わることなく、安定して留まることができるのです。
ここに人工衛星を置けば、太陽と地球との位置関係が変わらないので天体の観測がしやすくなる上に、軌道上の位置を維持するためのエネルギーも最小化できて運用も効率的です。
サプディ氏は日傘を置く最適なポイントとして、地球と太陽の間に位置するラグランジュ点1(L1)を想定しています。
このポイントであれば、安定して地球に当たる日射量を減らすことが可能でしょう。
サプディ氏は、こうしたアプローチについて「温暖化の絶対的な解決策とはならないまでも、気候変動の影響を一時的に緩和する方法にはなり得る」と指摘します。
これは現在のテクノロジーでは完全に荒唐無稽なアイデアではないと研究者は語りますが、最大の問題は係留ケーブル(テザー)を作る技術です。
このアイデアは軌道エレベーターの建設とコンセプトが近いため、桁違いに長く堅牢なテザーを開発する必要があります。
軌道エレベーターは地上と軌道上の静止衛星をテザーでつなぎ、それを基礎として地上と宇宙を繋ぐエレベーターを作るというアイデアです。
宇宙の日傘を小惑星に長期間安定して繋ぎ止めるには、軌道エレベーターを支えるテザーと同レベルのものを用意する必要があるのです。
これはすぐには開発できないでしょう。