ハダカデバネズミは老化細胞を殺す
細胞はDNAをコピーし複製して分裂を繰り返すのですが、正常な細胞はこの分裂回数に制限があります。
これは、細胞にあるテロメアという部分が細胞分裂のたびに短くなっていくことが原因です。
短くなっていったテロメアはある長さまで達すると、細胞は分裂を止め細胞の老化が始まります。
細胞老化が始まり細胞が老化細胞となると、慢性の炎症反応を起こしたり、がん細胞の発症を促進したりと、体にとってマイナスの影響が大きくなります。
そのうえ老化細胞は細胞死を起こしにくく、体に残ってしまうという特徴があることも問題です。
細胞死が起こり老化細胞が排除されれば炎症やがんが発生しにくくなるのに、老化細胞はなかなか死なないことから除去されにくいのです。
一方ハダカデバネズミは、ヒトやほかのマウスの種類には起こらない、老化細胞の細胞死を起こすことが判明しました。
ハダカデバネズミの細胞はがん化しにくく、長寿の傾向があるということは今までの研究で判明しています。
しかし、なぜハダカデバネズミはほかのネズミよりも30年以上も長寿なのか、なぜこんなにもがんになりにくいのかは未だ不明でした。
今回の熊本大学三浦恭子教授らの研究グループの発見により、ハダカデバネズミの健康長寿の原因は「老化細胞の死」ではないか、ということが分かりました。