高温が発生する宇宙の災害とは?
パルンボ氏によると、そのイベントとは2つの巨大な天体が衝突して爆発を起こすことだと話します。
2019年に発表された研究(Nature Physics, 2019)では、2つの中性子星(質量の大きな恒星が最晩年に至る天体)が衝突した場合、8000億℃の高温が発生すると推計しています。
それでもクエーサーの降着円盤よりはだいぶ冷たいものですが、もし中性子星とブラックホールが衝突した場合には、もっと大きな高温になる可能性があるようです。

ただいずれにせよ、こうした遠くの天体の温度を調べるのは非常に難しく、クエーサー3C273の温度推計にも不確実性が残っているとパルンボ氏は指摘します。
それもそのはず、天体の温度は家のお風呂の温度のようには測れず、その天体が放つ電波やX線を調べることで間接的に推定するしかないからです。
それでも現在開発が進んでいる「X線分光撮像衛星(XRISM)」などは、高温プラズマの速度や化学組成をこれまでにない精度で調べることが可能であり、この技術によって天体のより正確な温度が分かるようになるでしょう。
もしかしたら今後、クエーサー3C273を超えるホットな天体やイベントが見つかるかもしれません。
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