深海で生活できる施設「センチネル」が開発中
酸素がなく高い水圧がかかる深海では、生身の人間は生存できません。
それでも訓練されたダイバーが300m潜ったり、潜水艇が1万mに到達したりしました。
人類は一時的に未知の世界に触れてきたのです。
とはいえ、可能性に満ちた深海を調査するためには、一時的ではなく長期的に滞在する必要があります。
現在開発中の海底居住施設「センチネル」では、水深200mの深海で、人々が一度に最長28日間滞在できます。
この施設は、宇宙に浮かぶ実験施設「宇宙ステーション」と同じく、モジュール式を採用しています。
複数のユニットを様々な形に繋ぎ合わせることで、人間が作業したり生活したりするスペースを広げていくことができます。
例えば、居住用のモジュールや実験用のモジュールがあり、内部のデザインも変更できます。
現在公開されている居住区の画像では、深海施設とは思えないほど洗練されたキッチン・浴室・ベッドルームを確認できます。
従来の潜水艇のイメージとは大きく異なり、共用スペースや作業スペースも広々としていますね。
内部は地上と同じ1気圧に保たれるため、生身でも快適に生活できるようです。
そしてこれらセンチネルには研究所や観測所が備わっており、深海でしか得られない貴重なデータを収集・研究します。
この施設を用いるなら、海底における考古学を大きく前進させられるでしょう。
DEEPは、「従来のダイビング技術で数カ月かかった回収ミッションを数日から数週間で完了できる」と主張しています。
加えて、大学や教育機関、ダイビング産業とも連携していくことも考慮されています。
またセンチネルの耐用年数は20年で、世界中の様々な場所に再配置し、効率的に使用することも可能なのだとか。
そしてDEEPの将来の目標は、センチネルを「海の国際宇宙ステーション」にすることです。
センチネルを拡大し、大規模に配置。海における多国籍の研究ステーションにするというのです。
DEEPによると、世界中の研究者たちによって製薬やCO2回収など、幅広い研究が進展する可能性があるようです。
センチネルのオープンは2027年を予定しており、現在DEEPは、内部圧を維持するモジュール設備や廃棄物を処理する大規模なバイオリアクターの開発、優秀なダイバーの育成に取り組んでいます。
上空400kmにある国際宇宙ステーションと比べてもはるかに近いため、センチネルでの生活は、より身近な「未知の世界」体験と言えるでしょう。
深海の隔離施設というとモンスターパニック映画やミステリーの舞台みたいですが、そんなフィクションではおなじみの舞台が現実になろうとしています。
深海は不安とワクワクが隣り合わせの未知の世界です。
一般の人々がそんな空間に長期間滞在する日も遠くないかもしれません。