サトウキビへの欲求が人間を危険にさらすことも?
サトウキビはゾウの大好物であることが知られています。
草食動物であるゾウは大柄な体格のため、1日の大半を採餌に費やさなければなりません。
その中でサトウキビは普通の植物と違って糖度が高く、エネルギー源が豊富なため、ゾウたちの魅力的な食料となっているのです。
私たちも味気ない食事を続けていたり、頭を使って疲れたときには、甘いスイーツが猛烈に食べたくなりますが、ゾウにとってサトウキビはトラックを止めてでも食べたいご馳走なのでしょう。
こうしたサトウキビへの欲求は一見して無害に見えますが、実際には人々を危険にさらす可能性が指摘されています。
特にゾウの生息域の近くでサトウキビ栽培をしている農家にとっては深刻な問題です。
インド北部のウッタル・プラデーシュ州では過去に、サトウキビ畑の香りに惹き寄せられたゾウの群れが押し寄せてきたため、地元の森林局が農家に警報を出す事例がありました。
ゾウによる実害は単にサトウキビ畑が荒らされるだけではありません。
今から2年前には農場主の男性がサトウキビ畑の番をしていた折に、ゾウに踏みつけられて命を落とすケースも発生しているのです。
これらの被害を受けた農場では、ゾウの侵入を防ぐため、畑の周囲に溝を掘るなどの対策が採られています。
またトラックの前にゾウが飛び出してくる行動も、いまだ衝突事故は起こっていないとはいえ、危険なことに変わりはありません。
ゾウ自身やトラック運転手だけでなく、ゾウの存在に気づいていない後続車も含め、双方の身の安全を守る措置を取る必要があるでしょう。
たとえゾウが「僕は死にましぇん」と言おうとも、これをいつまでも続けさせるわけにはいきません。