「かゆみ」とは?
まずは、そもそもかゆみとは何かかから説明します。
かゆみの定義とは「掻きたくなる不快な感覚」です。
炎症など皮膚に異常が起きていることを伝えるために、脳がかゆみを生じさせているとされています。
また、虫刺され、肌荒れなどからくる皮膚の炎症以外にも、がんや内臓疾患が原因でかゆみが生じることもあります。
ただし、内蔵疾患が原因のかゆみであっても、かゆみが発生するのは皮膚部分のみです。
これは、体内の皮膚以外の部分で異常を検知したとしても、かゆみを伝える神経の末端部分は皮膚のそばにあるからです。
人間はかゆみを感じると、その部分を掻きたくなります。
これは、痛みの刺激を伝える神経回路は、かゆみを伝える神経回路を抑えられることが原因とされています。
通常かゆみは皮膚に付着した異物の排除が目的であるため、皮膚を掻くことで生じる痛みがかゆみを和らげる報酬として機能するのでしょう。
しかし、内臓疾患が原因であったり、慢性の皮膚炎症であるアトピー性皮膚炎によるかゆみは、皮膚上の異物ではなく体内に問題があるため、掻いても掻いてもかゆみが鎮まるのは一瞬で、またすぐにかゆくなることが一般的です。
掻きすぎると皮膚を傷つけてしまい、炎症のさらなる悪化や新たな炎症の発生につながります。
そのため、かゆみは体の異常を知らせるために必要な感覚ではありますが、引っ掻くという対処では皮膚に悪影響を及ぼすため、その前にかゆみを抑える必要があります。
かゆみを抑えるための飲み薬や塗り薬にはたくさんありますが、どの薬が効果的なのかは個人差があり、その人の症状やかゆみの強さによっても適切な薬は変わってきます。
しかし、かゆみの強度は主観的なものであり、客観的に判断することは困難です。
そこで、かゆみを抑える薬の有効性を適切に判断するために、かゆみを客観的に測定するウェアラブルデバイス(体に装着できるデバイス)の開発が進められています。