わずか数ミリ秒の「高速電波バースト」
電波望遠鏡は、遠方の宇宙から放たれた電波を受信し、非常に遠くの天体を観測することができます。
例えば、はるか遠くに存在する銀河や他の天体は、持続的に一定の電波を放射しています。
そのため、その発生源にターゲットを定めて長期的に観測していくことで、詳細な情報を得ることができます。
しかし、これら電波望遠鏡は、時に数百ナノ秒~数ミリ秒というごく短い突発的な電磁波パルスを捉えることがあります。
これは「高速電波バースト(FRB:fast radio burst)」と呼ばれており、わずか数ミリ秒で太陽が3日間で放射するエネルギーを放出しています。
もちろん、数十億光年という遠く離れた位置から届いているため、地球に届く電波強度は非常に小さいものとなっています。
2007年に最初の高速電波バーストが発見されて以来、数多くの例が観測されており、宇宙では毎日何千回もの高速電波バーストが生じているとさえ言われています。
しかし、高速電波バーストは銀河や他の天体とは異なり、非常に短い時間でしか放射されないため、未だにその発生源や発生メカニズムについて完全には解明されていません。
そのため高速電波バーストの解明は、天文学者たちが抱える使命の1つだと言えます。
そしてこの度、前例のないほど強力な高速電波バーストの観測結果が報告されました。