高速電波バースト「FRB 20220610A」が地球まで届く。イメージ
高速電波バースト「FRB 20220610A」が地球まで届く。イメージ / Credit:ESO/M.Kornmesser_Australian scientists detect most distant fast radio burst ever discovered(2023 the University of Sydney)
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80億光年の彼方から「1ミリ秒しか持続しない太陽30年分の放射」を観測! (2/2)

2023.10.29 Sunday

前ページわずか数ミリ秒の「高速電波バースト」

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80億光年の彼方から届いた「観測史上最遠」の高速電波バースト

最近、ライダー氏ら研究チームによって報告された高速電波バーストは、「FRB 20220610A」と名付けられました。

これは2022年6月に、西オーストラリアにある電波望遠鏡「ASKAP」によって観測されたものです。

研究チームによると、この高速電波バーストは、たったの1ミリ秒しか続きませんでしたが、その間に放出されたエネルギーは、太陽の全放射エネルギーの30年間分に相当するようです。

観測史上最遠の高速電波バーストが観測される。銀河の合体によって生じたと考えられる。
観測史上最遠の高速電波バーストが観測される。銀河の合体によって生じたと考えられる。 / Credit:ESO/M.Kornmesser_Australian scientists detect most distant fast radio burst ever discovered(2023 the University of Sydney)

しかもチームは、その発生位置を特定することができました。

なんとその一瞬のパルスは、80億光年も離れた位置から届いていたのです。

これほど遠い高速電波バーストが観測されたのは初めてのことです。

そしてライダー氏は、周囲の状況から、この高速電波バーストが「2つまたは3つの銀河が合体したときに生じた」と考えています。

もちろん現段階では、原因や発生メカニズムが確定されたわけではありません。

それでも、今後も高速電波バーストの観測と研究を続けるなら、いつかその構造を完全に解明できるかもしれませんね。

また、高速電波バーストは宇宙を駆け抜ける際に、銀河間のプラズマの存在を知らせてくれます。

研究チームは、この性質を利用して、将来的に「宇宙の質量を推定するのにも役立てたい」とも考えています。

地球へと届く「一瞬の電波信号」は、私たちが理解を深めるための「宇宙からのメッセージ」なのです。

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