世界最古のピラミッドはインドネシアにある?(※ 画像はイメージです)
世界最古のピラミッドはインドネシアにある?(※ 画像はイメージです) / Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部
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2万7000年前の巨大建築!?世界最古のピラミッド「グヌン・パダン遺跡」 (2/2)

2023.11.06 Monday

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2万年以上前からリレー形式で増築されていた?

ここからは論文に報告されている図を参考に順を追って見ていきましょう。

図に示されているように、グヌン・パダン遺跡はユニット1〜4の4段階に分けて作られています。

グヌン・パダンの断面図(左下)と色分けされた各ユニット(右)。ピラミッドは段階的に増築されており、表面ほど新しい構造で、内部は最大2万5千年以上前に作られた構造だった。
グヌン・パダンの断面図(左下)と色分けされた各ユニット(右)。ピラミッドは段階的に増築されており、表面ほど新しい構造で、内部は最大2万5千年以上前に作られた構造だった。 / Credit: Danny Hilman Natawidjaja et al., Archaeological Prospection(2023)

まず、頂上に位置するユニット1は、階段状に並ぶ5面のテラス(盛土)で構成されています。

5面のテラスは南北方向に並んでおり、北側の一番低いテラスが最も大きく、南側に段々と高くなるにつれて面積が小さくなっています(図の右上)。

テラスには巨石を使った柱や壁、通路が並んでおり、年代測定の結果、ユニット1は紀元前1100〜2000年頃に建造されたことが分かりました。

続いて、ユニット1の地下1〜3メートルには、図中の黄色で示したユニット2が広がっています。

ここには円柱上の巨石が人為的に並べられており、紀元前5500〜6000年の間に作られたと推定されました。

さらに地下5〜30メートルには図中の緑で示したユニット3があり、最新の調査では、この層に大きな空洞や部屋のようなものが存在することが確認されています。

年代測定によると、ユニット3は紀元前6100〜7900年の間に建造されていました。

最後に地下20〜30メートルには、図中の赤色で示したユニット4が存在しています。

ユニット4は火山岩の一種である玄武岩からなり、人の手で加工や彫刻が施されていることが特定されました。

この層がグヌン・パダン遺跡の最も古い部分に相当し、少なくとも紀元前1万4000年、最大だと紀元前2万5000年に建造されたと推定されています。

表面に露出したユニット1・2の岩石
表面に露出したユニット1・2の岩石 / Credit: Danny Hilman Natawidjaja et al., Archaeological Prospection(2023)

要するに、グヌン・パダン遺跡は一度に建造されたものではなく、数千年にわたってリレー形式に増築されていったと考えられるのです。

特に基部にあたるユニット4は、人の手で作られた最も古い巨石建造物である可能性があります。

例えば、古代エジプトにある最古のピラミッドは、第3王朝(紀元前2686〜2613年頃)の第2代ファラオ・ジェセル王の命で作られたものですが、それでも4600年ほど前ですからユニット4には遠く及びません。

ジェセルのピラミッド(サッカラ)
ジェセルのピラミッド(サッカラ) / Credit: ja.wikipedia

加えて、世界最古の巨石遺構として有名なトルコの「ギョベクリ・テペ」でさえ、約1万2000年前のものと推定されています。

これは人類が農業を開始した時期に相当していますが、それを踏まえると、グヌン・パダン遺跡は農業が始まっていなかった時期に、人類がすでに高度な建築技術を持っていたことを示唆するものです。

その建設時期は、およそ7万〜1万年前まで続いた最終氷期の終わり頃にあたると考えられます。

ギョベクリ・テペ
ギョベクリ・テペ / Credit: ja.wikipedia

誰が何のために作ったのか?

一方で、グヌン・パダン遺跡を作ったのがどんな人々で、なぜ建造を始めたのかはまだ解明されていません。

しかし、グヌン・パダンとは現地の言葉で「悟りの山」 を意味しており、歴史を通じて何らかの宗教儀式に使われた可能性が高いと見られています。

研究主任のダニー・ヒルマン・ナタウィジャヤ(Danny Hilman Natawidjaja)氏は「グヌン・パダンが古代の人々によって継続的に占領され増築を繰り返された事実は、この場所が宗教的に重要な意味を持っていたことを示しているでしょう」と述べています。

チームは現在、地下に見つかった空洞や部屋のようなスペースがどのように使われていたのかを掘り下げているところです。

グヌン・パダン遺跡の研究報告は今後もまだまだ続くでしょう。

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